過去ログ - 「安価で月の聖杯戦争に挑む」 -SS速報VIP

過去ログ - 「安価で月の聖杯戦争に挑む」

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375:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/04/21(月) 01:28:51.45 ID:XDzyJMfeo
階段を上がって二階へ。マイルームに戻ろうとしたところで、後ろから声がかかった。

「ちょっと、あなた。お金に困ってるんでしょ。相談乗ったげるわよ？」

振り返ると、特徴的な赤い服。大人っぽいロングブーツをそつなく履きこなす様にはちょっと嫉妬してしまう。
この一際凝ったつくりのカスタムアバターは、遠坂凛さんだ。たしか、予選のときから目立っていた。

優勝候補の一角だそうで、道端で彼女の噂話を聞くことも多い。
そんな凛さんが、どうして私なんかに声をかけてくるのだろう？　

彼女も知っての通り、こちらは文無しの一回戦脱落候補だというのに。

「でもそっちもアバターの作りはかなりのものだから、魔術師としての腕は悪く無いんでしょ？
　一回戦から困ってるってことは、特化型の技能持ちで、相性の悪い相手に大方当たったところと見たけど」

言われてみれば、私のアバターはなかなか凝っているかもしれない。
ドレスの質感はなかなか真に迫っている。黒のグラデーションは、ともすればリアルのどんなものより幻想的だ。

とすると、私は優秀な魔術師だったのかもしれない。

「って、あなたも記憶喪失なの？　二人も、ってことはムーンセル側のミスなのかしら」

分からない。原因がなんであれ、ムーンセルはとくに何かしてくれるつもりは無いようだ。
とにかく、今は一回戦を乗り切ることを考えなければ。

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