過去ログ - 阿良々木暦「まみコーム」
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12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/04/11(金) 18:30:34.03 ID:95e+9Xdq0


001


まどろみの中で意識が覚醒する。
半ば霞んだ視界で時計を見ると、時刻は午前六時を少し過ぎたあたりだった。
出社にはまだだいぶ余裕がある。

僕は目覚まし時計というやつが大嫌いだ。
あれは決まった時間に大音量を出すことで睡眠から目を覚まさせる、という意図で作られた便利な道具だが、いざ起きる瞬間となってみるとそれは『目を覚ましてくれる道具』ではなく『騒音を発する邪悪な物質』に意義を書き換えられる。
ただの気分の問題なのだが、機械ごときに苛々させられると思うと負けた気がして嫌なのだ。
手塚先生も機械に支配された人類のなれの果ては滅亡、と描いていたから間違ってはいないだろう。
と、こんな良くわからない持論を語った僕だが、実際のところは人生において目 覚まし時計が必要なかった、という意味合いの方が遥かに強い。
何せ小学生の頃は母親が毎朝起こしてくれたし、中学に上がって自分の部屋を持ってからも、毎日火憐ちゃんと月火ちゃんに起こされて来たからだ。
なお、火憐ちゃんと月火ちゃんが僕を起こすのは、決してお兄ちゃんはねぼすけさんだなあ、しょうがないから起こしてあげようという妹なりの優しい気遣いなどではなく、ただ単に僕より先に起きて僕を叩き起こすことによって序列をつけた気になっているだけだ。
……火憐ちゃんと月火ちゃんは基本的に二人で行動するから結果的に僕の方が序列的に下になることも多いのだが、そこはまあお兄ちゃんとして寛大な精神で受け入れてやろう。
ともかく、その毎朝僕を起こすという行為は僕が大学を 卒業し、765プロに就職してからも中止されることはなく、彼女たちは律儀にも毎朝電話で僕を起こしにかかってくる。
火憐ちゃんが高校生になったあたりから二人に心機があったらしく二人同時に、ということは少なくなったが、それでも毎朝僕を起こすことに執念を燃やすとはある意味尊敬に値する。
いや、決していい意味ではなく。



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