29:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/04/11(金) 19:04:47.47 ID:95e+9Xdq0
003
「真美ちゃん!」
「う……ん?」
――かのように、見えた。
真美ちゃんは先ほどと何ら変わりのない様子で、箱を手に佇んでいる。
箱の中には、これまた綺麗な立て櫛が入っていた。
作りからも結構な年代物だと言う事が見て取れる。
「だ、大丈夫なのか?」
「ん……なんか煙みたいのがモヤっと……あ」
真美ちゃんの視線がこちらに向く。
不気味にも彼女の眼球に映る僕の姿が、鏡のようにやけに明瞭に捉えられた。
「大丈夫か!? 何処か悪いところは――」
「兄(C)……」
ふわり、といい匂いに身体が包まれる、と思うのも束の間、真美ちゃんに抱きつかれていた。
僕の胸部に顔をうずめ、ぐりぐりと頬ずりしている。
その様子はどう見てもいつもの悪戯には見えなかった。
「 ちょっ、真美ちゃん!?」
真美ちゃんは顔を上げて上目遣いに僕を見る。
頬も林檎みたいに赤く染めちゃったりして。
うっわ、アイドルの上目遣いやべえ。超やばい。写メって保存したい。結婚してくれないかな。
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