過去ログ - 男「俺、お前が」幼馴染「……うん」
↓ 1- 覧 板 20
38:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/04/13(日) 11:11:26.07 ID:n+XiapiF0
なぜ幼馴染が泣いているのか解らなかったが、あの頃の幼馴染はよく泣いていた。
その度に俺は幼馴染の頭を撫でて、もう泣くなと泣き止むのを待った。
"だって、だって"
泣きじゃくる女の子を宥める方法を幼い自分は一つしか知らなかった。
というとまるで今では沢山知っているようだが、逆に今は一つもできないだろう。
思い出に浸りながら、男は思う。
あんな言葉は幼いから言えた言葉だ、と。
今ではもう、恥ずかしくって口にできない。
"もう泣くなって"
頭を撫でながら、泣き止まない幼馴染に対して。
大好きだったヒーロー、花弁ライダーと同じ台詞を。
"お前は俺が――"
そう、泣きじゃくる女がいた。
夢の続きは未来に飛んで、女の子は大きくなっても、まだ泣いていた。
ふと腕を伸ばせば刺すように痛み、気にせず肩を上げて頭を撫でた。
"また泣いてんのか"
やっぱりこれは夢の続きだ。
あいつはいつからか俺よりも強くなって、泣き虫じゃなくなったから。
大粒の涙をぼろぼろと零して、だって、だって、と言う様はあの頃そのままだ。
夢ならいい。
"お前は俺が――"
夢なら言える。
恥ずかしいことも、夢だったなら。
「お前は俺が守るから」
すると大きくなった幼馴染はわんわんと強く泣き始めた。
自分の胸に顔を埋めて泣き続ける幼馴染の下で、
おかしいな、たしか泣き止むはずなんだけど、と。
それが夢じゃないことに気づくのは、自分がコンクリートに寝ていると知った時だった。
58Res/46.36 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。