10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/04/14(月) 20:07:47.05 ID:zR9LCYYT0
  
 目線を上げたら煌々と輝く月と目が合った。 
 ほとんど満月に見えるくらい、丸く膨れ上がった立派な月。 
 すぐに見ていられなくなって、自分は月から目をそらした。 
  
11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/04/14(月) 20:09:19.95 ID:zR9LCYYT0
  
 部屋に帰っても誰が出迎えてくれるわけでもない。 
 自分が好き好んで家族をホテルに缶詰にしたんだから当然だ。 
  
 ぼーっとしていて夕食を食べることも忘れていた。 
12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/04/14(月) 20:10:26.80 ID:zR9LCYYT0
  
  
  
  
  
13:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/04/14(月) 20:11:22.21 ID:zR9LCYYT0
  
  
 自分の歩く振動が伝わって、月が細かく震えている。 
 ゆらゆらと、ふるふると、小さな波に乱されるように。 
  
14:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/04/14(月) 20:12:23.90 ID:zR9LCYYT0
  
  
 自分が独り占めにしていたかったのは、こんな鏡の月じゃない。 
 もっと、あたたかで、はかなくて、やさしくて、さびしげで、銀色に輝くお月様。 
  
15:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/04/14(月) 20:13:13.09 ID:zR9LCYYT0
  
  
 小さな封筒がひらりと落ちた。鉢の底に、貼り付けてあった? 
 水を張ったのもおそらく同じとき。誰がいったいこんなことを? 
  
16:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/04/14(月) 20:14:54.53 ID:zR9LCYYT0
  
  
  
  
  
17:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/04/14(月) 20:16:14.41 ID:zR9LCYYT0
  
  
 忘れられるかもって、思ったのに。 
 振り切ることができるかも、って、思ったのに。 
  
18:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/04/14(月) 20:17:48.12 ID:zR9LCYYT0
  
  
  
 「でも、さ」 
  
19:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/04/14(月) 20:18:45.02 ID:zR9LCYYT0
  
  
 プロデューサーに頭を下げて、自分は仕事に復帰した。 
 事務所のみんなもいつも通りで、戻ってきた自分を変な目で見たりはしなかった。 
  
20:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/04/14(月) 20:19:58.66 ID:zR9LCYYT0
  
  
 だけど自分は、それでも、ひとつだけ、ゆずれないリズムを保ち続ける。 
 これでもダンスは得意なんだ。リズム感には、自信がある。 
 毎日歩くスピードで、ゆっくりと、でも確実に。 
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