3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/04/14(月) 19:54:53.59 ID:zR9LCYYT0
  
  
 いつだったか貴音が、自分の部屋に持ってきたやつだ。 
 犬にハムスター、鳥にヘビ、はてはワニまで飼ってるのに 
 魚の一匹もいないのはおかしいっていうのが貴音の主張で、 
4:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/04/14(月) 19:57:37.96 ID:zR9LCYYT0
  
 四条貴音の突然の失踪は、世界のうちごく狭い範囲には 
 この世の終わりを告げるがごとき衝撃をもたらし、 
 そしてそれ以外のいわゆる世間一般では 
 ごくありふれたニュースの一つとして受け入れられた。 
5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/04/14(月) 19:59:53.54 ID:zR9LCYYT0
  
  
 別れにはいろんな言葉がつきものだ。 
 じゃあね、それでは、お疲れ様、さよなら、バイバイ、ありがとう。 
 思えば最初からそうだった。 
6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/04/14(月) 20:01:48.63 ID:zR9LCYYT0
  
 どうしてもひとりになりたくなって、 
 馴染みのペットホテルに家族みんなを預かってもらって。 
  
 でもいざひとりになってみると、 
7:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/04/14(月) 20:03:29.32 ID:zR9LCYYT0
  
 部屋を飛び出してふらふらと歩く。行くあてなんかどこにもない。 
 ゆるく波打つあの銀色を目にした気がして心臓がたたらを踏み、 
 よくよく見たらコンビニの雑誌棚に並ぶ、口さがないゴシップ誌の表紙だったりして。 
  
8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/04/14(月) 20:04:30.45 ID:zR9LCYYT0
  
 ここのところのお仕事は、すべて断ってもらっていた。 
 最初は気を使ってくれてたプロデューサーも、連絡をあまりくれなくなった。 
  
 そりゃあそうだ、自分は勝手な都合で仕事をサボってるただのアイドルで、 
9:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/04/14(月) 20:05:22.64 ID:zR9LCYYT0
  
 春の宵は風もそこそこ優しくぬるくなって、 
 コートを着てなくても寒くは感じないけど。 
  
 自分の心に埋めようのない穴がぽっかり空いて、 
10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/04/14(月) 20:07:47.05 ID:zR9LCYYT0
  
 目線を上げたら煌々と輝く月と目が合った。 
 ほとんど満月に見えるくらい、丸く膨れ上がった立派な月。 
 すぐに見ていられなくなって、自分は月から目をそらした。 
  
11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/04/14(月) 20:09:19.95 ID:zR9LCYYT0
  
 部屋に帰っても誰が出迎えてくれるわけでもない。 
 自分が好き好んで家族をホテルに缶詰にしたんだから当然だ。 
  
 ぼーっとしていて夕食を食べることも忘れていた。 
12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/04/14(月) 20:10:26.80 ID:zR9LCYYT0
  
  
  
  
  
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