過去ログ - 日向「強くてニューゲーム2」
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17:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/04/15(火) 05:49:37.26 ID:fX5a1w8N0
麻生咲(女子1番)は、一人ずつ教室を出始めてから24分後、デイパックをもらい部屋を出た。
時計を見ると、3時24分を指していた。かなりの時間、寝ていたらしい。

生まれて初めてだ。 人間の死体を見たのは。 それも身近な人間の。

中岡先生…あの人の死に方はひどかった…
あの兵士は狂ってる…普通、死んだ人を人に向かって投げつける?
そのせいで、近くで見てしまった…
頭が半分なくなっていた。顔についてたもの――あれは血と脳味噌だろうか? とにかく、それも見てしまった。

そして、閑谷邦康(男子6番)。 あまり親しくはなかったものの、ショックだった。
教室を出るとき、その死体を見てしまった。 見ないつもりだったのに。 胴から外れた頭。 うつろな瞳は、天井を睨んでいた。 怖かった。

 

外へ出た。

ここが、このふざけたゲームの会場になる。 ゲームと呼ぶこと自体がふざけているけれど。 緑あふれるこの場所で、クラスのほぼ全員が死ぬ。 考えただけで恐ろしかった。

みんな死ぬ…

そう、中岡や邦康のような死体がゴロゴロ転がる。
頭が半分なくなった死体、腕がもげた死体、首が胴から離れた死体…

胃の中のものが突き上げてきた。

咲は茂みの方へ入った。

「うぇ…かは…っ」

ダメ…あの2人の死体が目に焼きついている…

咲は、胃の中の物を出した。 目に涙が滲んでいた。
デイパックのジッパーを開け、ペットボトルを手探りで探した。 ペットボトルのふたを開け、水を口に含み、口を濯いで吐き出した。 まだ口の中に酸の味が残っている。

「もう…ヤだよぉ…」

どうしてこんな目に会わないといけないの?
どうしてウチのクラスなの?
どうして…?

そうだ…こうやっていつも私が泣いているときは…絶対に駆けつけてきてくれて…優しく抱きしめてくれた…
クラスのみんなは知らないだろうけど、一応付き合ってるんだよね、あたしたち。
本当に大好きだから…あたしは…会いたい…会いたいなぁ…

「咲!」

咲は慌てて振り返った。 聞き覚えのある、男子にしては高めの声…

「た…まき…?」

そこにはきゃしゃな体つき、そこらの女子よりも可愛らしい、いつもの皆川玉樹(男子16番)の姿があった。 月の光で白い顔と手がぼんやりと浮かんで見えた。

「咲、よかった…」

玉樹は優しく咲を抱きしめた。咲の茶色の髪を優しく撫でた。

「玉樹…玉樹…会いたかったよぉ…怖かったよぉ…うわあぁぁぁぁ!!」

咲は玉樹の胸の中で、泣いた。
きっとこれは危険行為だ。
それでも玉樹は何も言わず抱きしめていた。 さっきまでの一人きりの恐怖はどこかへ行ってしまっていた。 今あるのは、幼馴染であり恋人でもある、玉樹に会えた事による安堵感、それでいっぱいだった。


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