264:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/06/30(月) 09:40:20.16 ID:aFMIt3ru0
08
渡辺弘(男子20番)は出発後、1号館のすぐ近くに生えていた草の茂み(数分前に近藤美穂(女子9番)達が隠れ、そして和英智樹(男子17番)に襲われた場所だが弘の知る由ではない。)に隠れた。
腕時計を見て時刻を確認する。
ーーー後少し。
少しして、1号館から一人の少女が出てきた。
弘は茂みから飛び出し、懐中電灯のライトを少女に当てた。
ライトを当てられた少女は最初は驚いた表情を見せたが、すぐに安堵し、こちらへ駆け寄ってきた。
「待っててくれたのね弘!」
そう言って最後に出発した若村朋美(女子20番)が涙目で弘に抱きついた。
「朋美、すぐに離れよう。もしかしたら誰かが待ち伏せしてるかもしれない」
「う、うん……でも」
朋美は周囲をキョロキョロと見回している。
恐らく、朋美と同じグループの
二人は手を繋ぎ、走り出した。
暫くして、二人は2号館を見つけた。
「朝まであそこに隠れよう」
「そう、だね」
二人は中に入る。
取り敢えず、手前の教室に入った。
「……いない、な」
教室に誰もいないことを確認すると、すぐに鍵をかけた。
「……ねえ、これからどうする?」
少し落ち着いて、二人はこれからのことについて話し合うことにした。
「どうする、か……朋美はどうしたい?」
「んー……そうだね、燎子と美穂と友里と実里を探す」
朋美は俯き、そう答えた。
多分、自分と同じグループの彼女達のことを心配してるのだろう。
さっき銃声やマシンガンのような音も聞こえた。
暫く間を置いた後、弘は言った。
「俺は……ここから脱出したい」
弘の考えを聞いて、朋美は顔を上げ、目を見開いた。
「何だよその顔」
「え、だ、だって……脱出なんて……」
「無理と決まったわけじゃない。過去にもプログラムから抜け出した例がいくつもあるんだ。だからここから逃げる方法は必ずあるはずなんだ」
でも、もし脱出が無理だったなら、俺はーー。
いや、やめよう。
もっと前向きに考えなければ。
「朋美、今の内に眠っとけ。 最初の放送が終わったら動く」
「うん、わかった」
朋美はコクンと頷き、デイパックを抱えたまま、目を閉じた。
少しして、寝息が聞こえた。
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