30:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/04/15(火) 07:59:58.97 ID:fX5a1w8N0
この場にいない永佳たちの仲間である星崎かれん(女子十六番)は非常に大人びた容姿と性格をしており、同い年の人間との付き合いにはあまり関心がないらしい。
援助交際をしているという噂が立っており、交友関係を広げることが得意な卓也ですら少し敬遠してしまっているクラスメイトの1人だ。
卓也は購入したばかりの鮭おにぎりを頬張りながら、周りを見回した。
まだ5月末で冷たい物を食べるには時期が早い気がするが、ソフトクリームを売っている屋台の前には、荻野千世(女子三番)・佐伯華那(女子七番)・鷹城雪美(女子九番)・室町古都美(女子十八番)といった文化系女子グループの面々がいた。
確かに“濃厚ミルクソフトクリーム”と書かれれば食べたくなる気持ちはわかる。
卓也の傍でも、早稀が物欲しそうに屋台を見ている。
視線に気付いた雪美がこちらを見て怪訝そうな表情を浮かべたので卓也は慌てて視線を逸らし、反対側に顔を向けた。
目に入ってきたのは、芥川雅哉(男子二番)と奈良橋智子(女子十一番)という世にも奇妙な組み合わせだ。
智子はA組の副委員長で大人しく人と関わっているところをあまり見ない程に人付き合いが良くないが、とても真面目な優等生だ。
一方雅哉は銀髪に赤メッシュを入れた奇抜な髪形に着崩した制服が物語っているように真面目とは正反対の問題児で、授業の大半は寝ているし体育も参加しているところを見たことがない。
2人に共通しているのは、普段親しくしている友人がいないことくらいだ。
声は聞こえないが、智子が心配げな表情で雅哉に何事かを話し掛けるが、雅哉はへらへらと笑いながらそれを受け流してバスの方へ戻って行った。
智子が卓也の視線に気付き、びくっと身体を振るわせるとお手洗いの方へ掛けていってしまった。
「何きょろきょろしてるの、気持ち悪い」
永佳にぼそっと呟かれ、卓也は周りを見回すのをやめた。
ふと腕時計に視線を落とすと出発時間の10分前になっていたので、風に当たったことで体調が回復してきた優人と迅も連れて、卓也たちはバスへ戻った。
慌てて飛び乗ってきた恒祐たち男子主流派フードコート組が席に着いたところで担任である国語教師の塚村景子が人数点呼を行い、40人全員がバスに乗り込んだことを確認した後、バスは発車した。
高速道路の本線に戻る頃には車内は騒がしくなり、後部座席を陣取っている麗たちのグループは土産物を広げ始め、卓也の後ろの席に座っている恒祐と龍輝は子どもの頃に見ていた少年向けアニメの主題歌を歌い出し、その音程の外れっぷりに葉瑠や南海といった女子主流派の騒がしい面々からブーイングが飛んだ。
圭と裕一郎は恒例の口喧嘩を始め、雄大がそれを止めている。
何か楽しいことを話していたのだろう、早稀と季莉の高笑いが車内に響く。
卓也もバス酔いから復活した迅や英隆と話に花を咲かせた。
30分程経った頃、卓也は車内の異変に気付いた。
随分と、車内が静かになっていたのだ。
隣に座っている英隆はこくりこくりと舟を漕いでいるし、酔い止め薬の効果があったのかもしれないが迅と優人も完全に寝入っている。
立ち上がって見渡すと、最後列ではもみじと健太が麗に寄り掛かり麗も健太に体重を預けるように眠っていたし、前の席の瑠衣斗の手がだらんと通路に伸びていた。
前方を見ると、錬、堅物の榊原賢吾(男子七番)、委員長の芳野利央(男子十九番)といった普段から寡黙なトリオも眠っているし、先程何事かを話していた雅哉と智子それぞれの隣に座る林崎洋海(男子二十番)と如月梨杏(女子四番)も窓に身体を預けて眠っていた。
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