過去ログ - 日向「強くてニューゲーム2」
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436:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/08/23(土) 06:22:01.67 ID:7vd1UyS70
 淡々と出発を促す声が響く。そして次々と出ていくクラスメイト。そんな光景を萩岡宗信(男子15番)はじっと見つめていた。本当は先に出て行った古山晴海(女子5番)を追いかけたい気持ちであったが、そこはグッとこらえていた。

 

――くそ、まだ出発できないか…

 

 何度頭の中で計算しても、宗信は最後から三番目。宗信の後には女子不良グループのサブリーダー三浦美菜子(女子15番)と、今だに親友を失ったショックのせいか、微動だにしていない藤村賢二(男子16番)しかいない。したがって、大半のクラスメイトを見送ることになる。一刻も早く晴海の合流したい宗信にとっては、それはとてつもなく長い、永遠の時間のように感じられた。

 

――古山さん、どうか無事でいてくれよ。

 

 晴海だけじゃない。友人の乙原貞治(男子4番)や、同じ修学旅行の班であった江田大樹(男子2番)も安否も気がかりだった。早くみんなの無事を確認したい。内心宗信はあせっていた。

 そんな宗信をよそに、月波明日香(女子9番)も淡々と宣誓をし、比較的落ち着いた様子で出て行った。おそらく少し前にでた谷川絵梨(女子8番)が待っていると思っているのだろう。二人は仲がいいし、出席番号も近い。できればそこに晴海も加わってほしい。そう願っていた。

 そしてふと思った。明日香の次は、宗信の友人である白凪浩介(男子10番)が呼ばれる。二人の間には九人。時間にして約二十分後に宗信は出発する。浩介ほどの冷静さと度胸があれば、宗信を待つことも可能ではあるだろう。しかし、宗信は何となく、それはないような気がしていた。

 

「次、男子10番白凪浩介。」

 

 ついに浩介の名前が呼ばれる。宗信から離れた窓側から二列目、前から三番目の席に座っていた浩介がゆっくりと立ち上がった。傍目から見れば、落ち着いているように見える。けれども宗信には、浩介が内心かなり焦っているのをが分かっていた。浩介の想い人である矢島楓(女子17番)は、よりにもよって教室中に響いたあの銃声より前に出発している。宗信にしたって、楓のことが心配だった。浩介は、宗信以上に気がかりなはずだ。おそらくわざとゆっくり行動しているのは、自分を落ち着かせるためだろう。


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