8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/04/15(火) 05:42:46.61 ID:fX5a1w8N0
1995年6月7日午後。
修学旅行も何事もなく最終日を迎え、神奈川県平沢市立菊谷中学校の3年生たちは、帰りのバスに乗り込み、学校へ帰る途中だった。
もちろん、3年A組の生徒40人もだ。
サービスエリアに着き、トイレ休憩となった。
バスの中から一斉に生徒たちが出て行く。
「おう、良樹!
ジュース買いに行こうぜ!」
堤良樹(男子10番)は親友の富田宗(男子11番)に誘われ、バスを出た。
新鮮な空気と爽やかな風が気持ちいい。
「あー…今すっげぇポカリ飲みてぇなぁ…宗は?」
「オレはミルクティ、大人だろ?」
どこがだよ、と2人でゲラゲラと笑いながら自販機に向かっていると、突然後ろからタックルされた。
何なんだ、と良樹が振り返ると、そこにはサッカー部でFWを務めている勢多翼(男子8番)がいた。
「ワリ、今追われてんだよ!」
翼の後ろに目をやると、猛スピードで藤岡照昌(男子15番)が迫ってきていた。
さすが陸上部、素晴らしいフォームだ。
「良樹、宗!
どっちでもいいから翼を押さえててくれ!!」
「そうはいくかってんだ!!」
翼はするっと良樹と宗の間を抜け、照昌に劣らないスピードで走っていってしまった。
「照昌、こっちだこっちー!」
左を向くと、バスケ部コンビの和泉直正(男子1番)と村山晋一郎(男子18番)が、右を向くと男子委員長の高橋良太(男子9番)と『ラッキーボーイ』という異名で有名な廣岡誠(男子14番)がいた。
なるほど、鬼ごっこね。
良樹と宗は自販機の前に着いた。
良樹が飲みたがっていた清涼飲料水は売り切れていたので、どれにするかと迷っていると、後ろからトントン、と肩を叩かれた。
「ねぇ、良樹君…これ、食べない?
風美のおごりだって」
その声は、良樹の幼馴染の土井雫(女子10番)だった。
その手にはたこ焼きが10個ほど入った箱が乗っていた。
「へぇ、緑沢のおごり?
景気でも良いのか?」
「ちゃうちゃう、うちの心が海よりも深いだけやって!」
宗の視線の先にいた、大阪からの転校生、緑沢風美(女子18番)がひらひらと手を振った。
しかし、その顔にはしっかりと書いてある。
ジュースの1杯でもおごるんが筋ってモンやろ?、と。
それに先に気づいた宗が苦笑し、ジュースをおごってやっていた。
「あ、咲!
見て見て、これすっごい可愛い!」
「え…あ、ホントだぁ!すごい可愛い!
玉樹、達哉、見てよこれ!」
お土産コーナーで騒いでいるのは、派手な外見とは裏腹に、とても心優しい麻生咲(女子1番)と、市内でも有数のお嬢様で、大和撫子という言葉がとても似合う仙道桜子(女子7番)。
その後ろで首を傾げているのは、咲の幼馴染だという皆川玉樹(男子16番)と、玉樹とは部活で知り合ったという美祢達哉(男子17番)。
この4人はとても仲がよく、いつも一緒にいる。
咲たちが可愛いと絶賛している物、それは奇妙な形をしたキーホルダー。
玉樹・達哉は何が可愛いんだか…、という顔をしている。
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