5:黒猫
2014/04/16(水) 17:35:49.37 ID:FR+3sHQH0
2−2 春希 成田空港 5年前
互いの体の感触を忘れまいと抱き合っていても、時間だけは過ぎ去る。
おそらく、今感じているかずさの感触は思い出すことなんてできないだろう。
きっと、第2音楽室に侵入しようとして落ちかけた時に支えてくれた手の感触、
初めてキスをした時の冷たい体と切ない表情、
そして、初めて抱き合った時の温もり。
今、必死にかき集めようとしている温もりなんて思い出すことなんてできないのに
それなのに、やめることなんて、できやしない。
かずさ「もう・・・時間だ」
春希「冬馬?」
かずさ「もう出発の時間。だから、行かなくちゃ」
春希「行くな!冬馬。・・・・・・いかないでくれ」
周りの見送り客に、必死に女にすがる情けない男と思われようとかまわない。
かずさを失いことに比べれば。
かずさ「そんな顔するなよ。笑って送ってくれよ。
ううん。いつもの説教している時の顔?
いや、まじめくさった面白くもない顔でもいいか?
まあ、・・・今みたいに泣いている顔じゃなければいいよ」
春希「お前も泣いているじゃないか」
なんとか言葉をつむぐかずさを見ると、自分の醜さを痛感して
かずさを引きとめる権利がないことを思い知る。
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