12: ◆MU56p3v17.[saga]
2014/04/19(土) 20:54:43.38 ID:/08Q5aYT0
※
視界を、炎が埋め尽くしていた。
学校を飛び出したアセムは、熱気に身を晒しながら燃え盛る道路をバイクで走っていた。
これまで何度か戦闘を想定した避難訓練は経験していたが、いざ現実のものになると、恐怖や不安が一気に押し寄せてくるものだということを、初めて知った気がする。
アセム「……酷いな」
立ち並ぶ家屋はことごとく潰され、焼かれ、崩れている。
空中では塵灰と黒煙が巻き上げられ、漏れ出したガスの臭いが鼻腔を刺激する。
やがて、顔をしかめながら進んで行くと、路上にへたり込む人の姿が目に留まった。
アセム「……あれは、ロマリー!?」
その人影は、間違いなくアセムの同級生ロマリー・ストーン本人のものであった。
アセム「ロマリー! 何だってこんな所にいるんだ、ここは危険だぞ!」
ロマリー「アセム……!」
栗毛の少女が、アセムの声に思わず反応する。
ロマリー「私、足を挫いちゃって……それで歩けなくて……」
アセム「そうなのか……。とにかく乗って! こんな所に居続けたら、命がいくつあっても足りない。 早く行くよ!」
ロマリー「行くって……どこへ?」
アセム「一旦、俺の家へ帰る。家族のみんなとも連絡がとれないんだ」
一人用の座席の僅かな隙間にロマリーを座らせ、アクセルを踏み鳴らし、急いで自宅のある方角へ向かった。
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