13: ◆MU56p3v17.[saga]
2014/04/19(土) 22:38:54.43 ID:/08Q5aYT0
※
居住区では、既に戦端が開かれていた。
紫色のヴェイガン製モビルスーツ“ドラド”が二機、連邦軍の“陸戦型ジム”のミサイルランチャーによる攻撃を難なく躱しながら、撃破する。
連邦軍の“統合整備計画”は着実に進んでいるものの、その多くは低コスト帯のモビルスーツの生産が主流であり、数だけ水増しされた感が否めないのが現状である。
この陸戦型ジムも、EXAMデバイスから採取したデータを基に復元された旧世紀の量産型モビルスーツの一つなのだが、ヴェイガンのモビルスーツ相手では足止めが精一杯と言ったところだろう。
とうとう最後の一機となった陸戦型ジムが、ビームサーベルを引き抜いて突撃した。
ドラドの掌からビームサーベルが伸びて、突っ込んできた敵モビルスーツの両手を切り払い、直後、もう一機のドラドから放たれたビームが陸戦型ジムのコックピットを焼く。
ゼハート「……あれが連邦の新型か? あまりにも歯ごたえがなさそうだな」
自軍による一方的な戦いを、ゼハート・ガレットは遠くの草原から双眼鏡で眺めていた。
彼が“トルディア”に来たのは、このコロニーのどこかに隠されたあるモビルスーツを手中に収めるためである。
ゼハート「(……蒼い死神。ヴェイガンの兵士達を幾度となく震え上がらせた伝説のモビルスーツ……。兄さんも、そのモビルスーツにやられたと聞いていたが……)」
数多くのヴェイガンのモビルスーツを撃墜した“蒼い死神”ことブルーディスティニーの名は、ヴェイガンの兵士なら誰もがその鬼神の如き戦いぶりを語るという。
ゼハートに与えられた任務というのは、連邦軍が所持していると思われるブルーディスティニーを、奪取もしくは破壊することだった。
ゼハート「雑魚は放っておけ。それよりも、ブルーが先だ」
無線で遠方のドラドに指示を出しながら、ゼハートはただ一人、煙の上がる住宅街を無表情で見つめていた。
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