過去ログ - 少女「有言実行、しましょうか」
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173: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2014/04/22(火) 14:00:14.70 ID:BKn3hKU/0

 勢い良く振りかぶって、全ての刃を木刀男へと叩きつける。
 銀閃の烈風。数百では足りない殺意の断裂が木刀男を細切れにする。

――はずだったのに。

詰襟「くだらん」

詰襟「近親相姦は悪だ。悪は殺す」

 木刀の一閃が、花園の刃を断ち切っている。

 刃が。
 花園の体が。
 お兄ちゃんに綺麗だと褒めてもらった指先も、つややかだと褒めてもらった髪の毛も、似合ってるよと言ってもらった服も、

 全部ばらばらに!

妹「あ、が、ぎっ!」

 衝撃で変身が解ける。元に戻った体は、手首の先が消失していて、そこから断続的に真っ赤な液体が噴き出していた。
 それがなんなのかなんて、考えたくない。

 大上段に木刀が構えられている。花園は瞬間的にお兄ちゃんを盾に変化させ、その打ち下ろしを無理やり防いだ。

 骨の砕ける音が聞こえる。

 勢い余って花園ごと廊下を滑っていく。リノリウムの廊下は肌がつっぱってとっても痛い。手首の先がないから受け身も取れず、自分の血でずんずん滑ってしまう。
 ようやく止まったのはお兄ちゃんが体勢を立て直したからだ。左手で花園の襟首を掴んで、片膝を立てて木刀男へ視線を向けている。
 よく見れば、左腕が変な方向に曲がっていた。さっきの攻撃のせいだ。

妹「よくも、よくもお兄ちゃんを!」

 撤退の文字などはなからなかった。お兄ちゃんは花園のものだ。花園のものを傷つけた人間など赦しておけるはずがない。捨て置けるはずがない。
 木刀男は今ここで殺す!

 花園たちは同時に飛び出す。体勢を立て直し、廊下の端と端、狙いを容易く定められないように緩急をつけ、同時に飛びかかった。
 木刀の一閃はお兄ちゃんに。一瞬でアイコンタクトを済ませる。刃になろうかと言ったけれど、答えは首を横に振る。



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