45: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2014/04/17(木) 23:22:22.56 ID:iWvh8kZB0
黒マント「逃げられたか?」
だとしたらどこへ。屋上から去るのより、私がビルに突入するほうが圧倒的に早かったはずだ。入り口以外に出入りできるところは……、
非常口!
緑色のランプが点灯している鉄扉、それを開けるのさえ億劫で、私は『黒光纏いて優雅に踊れ』を使ってぶっ飛ばす。外には赤錆びの浮いた鉄階段があった。上の階を見れば鉄扉が開いたままになっている。
下には? ――人影がない。
黒マント「逃げられた! くそ!」
いや、逃げられたと言ってしまうのは語弊がある。相手はこちらを依然として窺っているかもしれないのだ。まだ安心はできない。
炸裂音――火花――階段の手すりが爆ぜる。
ほら! やっぱりまだ逃げていなかった!
黒マント「どこだ!」
また屋上か!?
蓋に飛び乗ってそのまま空中へ。殆ど垂直に地面へ落下し、私は人ごみに紛れるべく、大通りへと走っていく。
私の怪我と臭いにすれ違う人が顔を顰め、怪訝な表情を作っていくが、そんなことはお構いなしだ。どうせ肉壁なのだから。
それにしても、経験から言って、歩みを止めるのは愚行以外の何物でもないと思った。敵は隙あらばこちらを射殺しようとしてくる。このあたりの地理を熟知しているのか、器用に隠れ、逃げながら。
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