81: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2014/04/18(金) 11:56:21.75 ID:hodrlcSw0
あたしは返事の代わりに弾丸を壁へとぶち込んだ。大きなひびが入るが、それもすぐに修復されていく。弾丸が飲み込まれるように壁へと沈み込んでいった。
腕章「……」
そして、大きくため息をつく。
落ち着け、落ち着け。まずは状況の確認だ。面と向かった状態での戦いなら、思考と経路が読める分だけあたしが有利。けど、現在の状態はそれとは程遠い。緩慢な死があたしを取り巻いている。
敵――内村畿内というらしい――は墓穴を掘った。彼女はあたしに「餓死」と言ったのだ。つまり、彼女は私を殺さない。もしくは、殺せない。それは考える時間がたっぷりあることを示している。
考える時間があるのなら、だいじょうぶ。きっと何とかして見せる。
携帯電話で時間を確認する。時刻は七時半。時間の進みは変わらないようだ。電波はきちんと通じているようだから、外部と連絡を取ることはできるのだろう。
とりあえず110番してみた。
もしもしと警官が応答したので、この屋敷の住所と、監禁されている旨を伝える。やおら慌てだした警官に、臨場感を追加するため、「あっ!」と小さな悲鳴を入れて通話を終了。
腕章「これで来てくれるかなぁ?」
恐らく門扉の前までは警官を寄越してくれるだろう。それから先は……まぁもともと期待してもいない。通話が問題なくできるということがわかっただけでも収穫だ。
次に壁をノックしてみた。コンコン、と音が響く。どうやら普通の壁材であるらしく、特別に強度が増したりはしていない。と思う。壁材のことなんて詳しくないからわからないけれど。
強度自体は普通の壁のそれだが、すぐに復活する。破壊して一気に外へと駆けこめば……いや、そもそも壁を破壊できるだけの攻撃力をあたしは持ち合わせていない。
猟銃の弾丸は貴重品だ。無駄遣いはできない。
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