36:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/04/18(金) 17:53:52.34 ID:xeDtmg+30
「一番の問題は何よりも、怪異が私たちにあてられて進化しまったことです」
病気に罹った身体が免疫抗体を生成するように、一度骨折した箇所が次は折れにくくなるように――あろうことか怠け者が働き者になってしまった。
更に相乗効果でこちらには忍野扇という『前例』がいる。
あらゆる怪異を取り込み進化した扇ちゃんという存在は、さぞやわかち懶にとっていい手本となったことだろう。
「さっきの話に戻りますね。
大抵の人間は夢の世界を選んで楽しい夢の中で幸せな夢を見ながら逝去されるのですが――。
けれど稀に、夢を選択しない宿主が現れる。
それが今回の件、星井ちゃんですね。
例外の上にまた例外の上乗せです」
そりゃメメ叔父さんもびっくりしますよ、と扇ちゃん。
星井は、きっと夢はそう簡単に叶わないと知っている。
だから都合のいい世界を信用せずに、ひたすらに自分の力で頑張ろうとしている。
けどな、星井――。
お前は間違えているよ。
「彼女は何でも思い通りになる夢よりも、思い通りにならない現実を選んでしまった。
そうするとどうなるか、聡明な阿良々木先輩のことですから理解されているとは思いますが」
「――夢が、過剰に現実を侵食し始める」
夢を叶える怪異と、夢を望まない少女。
この二つが揃うことにより、『本来叶えない筈の夢まで現実に反映してしまう』ことになる。
例えば、夢とは言えないただの願望や、意味のない幻であるところの夢までもが対象として扱われてしまうのだ。
先日、野外ミニライブの日に星井が望んでもいないのに雨が降ったり、知る由もない忍の昔の姿を現実のものにしてしまった結果がそれを物語っている。
付け足すのなら、忍の夢は僕の夢の残滓とでも言うべきものだ。
寝ている間に見る夢というものは、あくまで個人内で完結していなければならない。
知り得ないことは夢で見ることは出来ないのだ。
つまり、忍はおろかキスショットを知らない星井が、キスショットの夢を見る筈がないのだ。
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