35:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/04/18(金) 17:50:36.10 ID:xeDtmg+30
「さて、ここまで散々すごい怪異みたいにわかち懶を語りましたが、実際はそうでもないんです。
文字通り世界に干渉するレベルの怪異なのですが、そこは文字通り怠け者のやること。
本来ならば何十年とかけて少しずつ人間の夢を侵食し、発動することすら稀だと聞きます。
叶える内容も可愛いものばかりです。
現実にあまりに大きな影響を与える夢は、わかち懶が面倒くさがるためにスルーされる。
予知夢、なんて呼ばれているのは大抵彼の仕業だなんて言われていますが、どうなんでしょうね?
何度も夢で起こった出来事が現実に反映されると気付いた宿主は、やがて夢と現実の区別がつかなくなり、その多くが夢の世界を選択し、眠ったまま夢を見続ける。
夢の叶わない現実よりは、ある程度自分の願望通りに事が進む夢の世界の方が楽しいですからね。
最後にはさっき言ったように、宿主が永遠におやすみなさい、で終わりの話なんです。
まあ、その段階になる頃にはもう既に寿命を全うする頃なのがほとんどだそうなので、老衰と判断されることがほとんどで、大して有害とは言えない怪異だそうです」
めでたしめでたし、ではないですけれどね。と余計なひと言を付け足し、扇ちゃんは続ける。
「――ですが、今回は手違いがあった」
「……僕たちか」
「ご名答です」
怪異に関わった者は、怪異を寄せる――。
最初にわかち懶に取り憑かれたのは、僕だったと言う訳だ。
だが僕は阿良々木暦という一人の人間である と同時に、忍野忍と忍野扇――二人の怪異と手を繋いでいる。
僕に取り憑いたところで怪異は夢を見せることが出来ない。
昼は僕が、夜は忍が起きている上に、無意識下に扇ちゃんという影が落ちている。
無論、自分の仕事を全う出来ない怪異は戸惑い、僕の側にいた人間に移った。
怪異に女の子の好みがあるのかどうかは不明だが、よく眠る彼女が好ましかったのか、星井の夢が好ましかったのか、あるいは両方か――ともかく星井に移ってしまったという訳だ。
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