過去ログ - 【Vシネ版】 京太郎「……変、身ッ」 【仮面ライダー】
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482: ◆rVyvhOy5r192[saga]
2015/01/12(月) 00:04:26.19 ID:J39nihg8O


 ――まだ、初夏の事だった。

 草木が青々と茂る山の中、青年と少女が対峙する。

 悲壮感を浮かべた茶髪の少女と、嘲笑とも喜悦とも取れぬ笑みを浮かべた白服の青年。

 その周りに人影はなく、ただ青嵐だけが荒れ地に僅かに顔を覗かせ伸びきった草や花を揺らす。


 二人とも、無言。

 その中で少女、宮永咲は回想する――。


(……麻雀、楽しかった)


 宮永咲にとって麻雀とは、善き思い出ではない。

 理不尽に叩きのめされた。

 負け続け、悔し涙を零し、勝ったと思えばそれはそれで咎だと攻め立てられ、ついぞ喜びを味わった事はない。

 家族と打っていたときの麻雀は本当にただ恐怖に耐えてやり過ごす事しかできない苦行だった。


(ありがとう、原村さん)


 目を閉じて思い浮かべるは桃色髪の同級生。

 彼女の真剣な目線、そしてその信念に――自分も勇気づけられた。麻雀と、家族と向き合う覚悟を決められた。

 そうでなければ宮永咲は、きっと逃げ出したままだったろう。

 終わりなき戦いの日々の先に、平和を守ったその先に……宮永咲としての幸福を見いだせなかっただろう。


 そして――。


(ありがとう……京ちゃん)


 自分をそんな場所に連れ出してくれた幼馴染の事を考えると、胸が熱くなる。

 子供の頃に出会ってはいたが、その事は対して記憶にはなく――どちらかと言えば中学からの同級生という意識が強い。

 御互い、幼馴染と言う事は忘れていた。

 彼との再会は、中学生のクラス行事の時だ。



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