過去ログ - もし現代に艦娘が舞い降りたら。side:加賀
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19:トラック提督
2014/04/22(火) 20:56:54.56 ID:jHuVnAp60

タクシーが止まった。乗車してから10分と経っていない。
運転手が後ろを振り向き、俺の顔を見ながら顔をすくめる。どうやら目的地のようだ。

「あ、そうだ。お金ね。えーと、いくら?」

眉をひそめる運転手。

「ああ、そうか。How much?」

そう聞くと運転手は前に向き直し、無言でメーターを指でつついた。

「あ、うん。15ドルね。」

うん…?ドル?
俺は重要な問題に気づいた。
出発時も到着時も時間的余裕が無く、僅か12時間前まで日本にいた男の財布には誰がいるか。
もちろん諭吉さんである。
ここはアメリカ合衆国。いくら日系人が多いハワイといえ通貨はもちろんドルだ。

「うっわ、やっちまった。」

初めての海外なので完全に通貨の事を失念していた。何かとトラブルに巻き込まれやすいんだよな俺。飛行機の到着も遅れるし。
不穏な空気を察知したのか、運転手が再度振り向き、俺の顔を見た。明らかにマズイ。

「あー。円。YEN。Do you accept Japanese Yen? 」

「No.」

そういいながら小さくしっかりと首を横に振る。当たり前だ。否定はきっぱりだなチクショー。
しかし、これは本格的にマズい。空港に戻ってもらうにも待ち合わせに完全に遅刻する。
ああ、こんな事なら空港で日用品でも買っておいたほうが良かったか。そうすればもっと早く……。

「ん、そうか!へい!へいへい、運転手さん!あ、英語か。えーと、Do you accept Credit Card??」

頼む。

「…ok」

おっしゃあ!初海外の初トラブル。なんとかなるもんだ。

「Thank you!!」

元気ハツラツにそういって、やっとのこさタクシーを飛び出すように降りる。日本人だってたまにははっきり物事を言うのだ。
時刻は11時ちょうど。時間ぴったり。
降りた場所は広い道路だった。その場所がどういう場所なのかを知らないまま現地まで来た俺である。見回す長い直線の道路と交差点、そして物々しいゲートがあり、そこには軍人が立っていた。
そして、その横の看板に目が行く。

「うお、マジかよ……」

つい口に出た。俺も職業柄、日本のこういう場所には訪れたこともある。しかし、それはあくまでもそれは日本の中だ。
現地ともなるとなんというかオーラがすごい。自分がこの場所に立っていること自体場違いな気がする。運転手が怪訝な顔をするのもわかる気がする。

呆気にとられている俺の背中に誰かが呼びかけた。


「失礼、日本から来られた方ですか?」


「は、はいっ?!」


不意に声を掛けられ裏声になりながら振り向く。
そこには白髪頭の男性が薄い笑顔を浮かべながら立っていた。明らかにアジア系。いや、日本人である。

「そうですか。遠路はるばる申し訳ない。」






「ようこそ、アメリカ海軍真珠湾基地へ」










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