10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)
2014/04/26(土) 18:23:59.70 ID:ndNHoV3Y0
バス停へ向かう途中、一台のタクシーを見つけた。
こっちの方があまり歩かなくていいし、今となっては金なんて気にしなくてもいい。
すぐさま車道に近付き、右手を上げると、目の前でゆっくりとタクシーは停車した。
後部座席のドアが開く。財布を持っていることを確認してから、私はタクシーに乗った。
「今日はどちらまで?」
運転手が尋ねる。
「───公園、わかります?」
私はふだん人の少ない、東京湾に近いとある公園の名前を言った。
「わかりますよ、そこでよろしいですか?」
「お願いします」
私が返答すると、運転手は再びタクシーを走らせはじめる。
私は、通り過ぎていく風景を、ぼーっと眺めていた。目に映るのは、ビル、サラリーマン、OL、自動車、ビル、サラリーマン、ビル、ビル、───
その全てが、私にとってはどうでもいい。
憎いとも思わないし、美しいとも思わない。
世の中がつまらない。
もう、風景に目のピントを合わせるのも面倒になってきた。
視界が揺れる。歪む。
いっそこのまま、息を止めて死んでしまおうか。
──まぶたを閉じて、私は暗闇の世界へ沈んでいった。
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