14:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/04/27(日) 14:54:21.65 ID:GsTqztVz0
「おーい」
──────…………。
聞いたことのない声がする。
なんだろう。
私は……そうだ、東京湾に沈んで──あれ。
じゃあどうして今更人の声なんて聞こえるのだろう。
ああ、だめだ、頭が濁っているような感じで、何かハッキリしない。
意識がぼーっとする。
……ひょっとすると、死にきれてなかった?
──自殺に失敗した。そのことに驚き、はっとまぶたを開く。
「あ、起きた」
どうやら地面に寝転がっていた……というか、倒れていたらしい私の目の前に、20代くらいの男性がいた。
しかし見たことはない。知らない人だ。
「………誰?」
見知らぬ男性に問いかける。
「ん。その前に起きようか。そのままじゃ、雨が目に入るんじゃないかな」
──雨?
なんだか意識がハッキリしてきた。
ざあざあと、激しい雨の音が聞こえる。空は真っ黒に濁っていて、午前中の天気からも安易に予想できた天気だった。
……じゃない。とりあえず起きよう。
気だるい体を上半身だけ起こし、下の方を見る。
「………ああ、くらくらする」
おそらくかなり不機嫌な声でつぶやくと、彼は横の方を向き、それに返答する。
「それは仕方がない。じゃあ、起きたところで、早速だけど自己紹介といこうか」
起きたばかりの人間に何を紹介しようというのか。
俯きつつもちらっと彼の方を見ながら、その続きを待つ。
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