1: ◆VslBbv84R2[saga]
2014/05/01(木) 00:46:19.06 ID:r7ry1KnL0
八月ももう終わろうとしているというのに、強い日差しがじりじりと髪を焼くかのようだった。
右手から提げる、大好物のプリンが入ったビニール袋を、太陽からかばうため身体の陰に隠す。
帽子くらい被ってくるべきだった。
後悔しながら、宮永照はとぼとぼと歩を進める。
とぼとぼ、というのは心情が反映されたオノマトペでは決してない、と思う。
今歩いているこの場所の、物哀しい雰囲気がそうさせるのだ、とそう思う。
照自身の主観からするとそういうことになるのだが、第三者から見た場合にどう映るのかはわからなかった。
「……おねえちゃん?」
「……なに?」
「あ、ううん……なんでも、ないの」
「そう」
「第三者」が自分の歩調になにを感じたのか、短い会話からだけでは計り知れなかった。
ましてや彼女は照の隣ではなく、少し遅れて斜め後ろをついてきているのだ。
表情など窺い知れるはずもなかった。
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