過去ログ - 禁書「イギリスに帰ることにしたんだよ」 上条「おー、元気でなー」 2
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11: ◆ES7MYZVXRs[saga]
2014/05/01(木) 03:08:51.11 ID:wiguRyO8o

それは気品溢れるベージュのブレザーだった。
それは風にはためくチェックのスカートだった。
サラサラと、雪とともに風になびく綺麗な茶髪だった。その周りを走る、青白い光だった。

表情は見えなかった。
笑っていたかもしれない。怒っていたかもしれない。悲しんでいたかもしれない。
それでも、泣いてはいなかった。なぜかそれだけは断言できた。

ケータイを掴む右手に力がこもる。

『あとは頑張れよ、カミやん』

「……あぁ」

通話はそこで切れた。
上条は静かにケータイをたたむと、ジャケットにしまった。

そして、電車の中央へとゆっくりと歩いて行く。
中央まで行ったら、体の向きを変えて、その男と向き合った。
倒すべき男と視線が真っ向からぶつかり合う。だが決して逸したりはしない。

ステイルもまた、その視線を正面に受けたまま口を開く。
ため息混じりに、

「まったく、君は普段は不幸不幸言ってるくせに、こういう時は幸運に恵まれるね」

「……ホントにな。何が不幸だって話だ」

上条の口から小さな笑いが零れた。

こうやって助けてくれる仲間がこれだけいる。
倒れそうになっても支え、背中を押してくれる。何だってできる気さえしてくる程頼もしい。
こんな自分は、きっと、とてつもなく幸せなんだろう。

それを噛み締める。
みんなの言葉、想い、全てが体をめぐり力となる。



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