過去ログ - 【モバマス】「きみがいたから」【結城晴】
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14:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/05/03(土) 21:09:38.27 ID:3dnvgWSh0
 週末、佐城にもらったチケットに書かれた場所に向かったよ。

 駅から少し外れたところにある多目的ホールってことらしい。

 会場が近づくと、明らかにライブイベントに来たって分かる大人たちが増え始めて、自分が出るわけじゃねぇのに、とんでもなく緊張してきた。

 人の流れに吸い寄せられるみたいに、立派な会場に入って、チケットを切られて、周りのことを気にする余裕がないまま、なんとか自分の席を見つけて座った。

「最前列かよ、マジか……」

 前のステージまで遮るものがなにもねぇし、超近ぇし、これ、佐城たちのファンからすれば、なにがなんでも座りたい最高の席ってやつだろ?

 オレ、ライブイベントなんて来たことねぇし、どうやって盛り上げればいいのかもわかんねぇよ。

 あー、やべぇ、腹痛くなってきた……。

 佐城のやつ、本当にこんな空気の中で歌ったり踊ったりできるのか?

 引っ込み思案で、普通に喋ることすら苦労してるようなやつなのに、こんなに大勢の視線を浴びたら、座り込んで泣き出しちまうんじゃねぇか……?

 やべぇ、本格的に気分が悪くなってきた……大丈夫かあいつ……。

 オレが腹を痛めてる間にも、どんどん観客はやって来て、気がつくと超満員だ。

 熱気と一緒にざわめきが膨れ上がっていくみたいで、押し潰されてしまいそうだ。

 そろそろかなって思った瞬間、電気が消えて、辺りが真っ暗闇になる。

 ざわめきがしぼんで……。

 静けさを破るみたいに音楽が流れ出した瞬間、歓声が上がる。

 続いてステージに光が射して、青色のドレスを着た佐城の姿が照らし出された。

 客席に向かって、ゆっくりと片手を差し出して、穏やかな微笑みを見せる。

 その時、絶対に勘違いじゃねぇ、佐城と目が合ったんだ。

 心臓が高鳴って、不思議な熱が、体の内側から、じわりと指先まで伝わっていく。

 ……マジかよ。

 溜め息が出るほど、綺麗じゃねぇか。


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