過去ログ - 【モバマス】「きみがいたから」【結城晴】
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2014/05/03(土) 21:10:11.72 ID:3dnvgWSh0
ステージにふっと新たな光が射して、赤色のドレスを着た女の子が佐城の隣に現れる。
自分の存在感を主張するみたいに、堂々と胸を張るその子は、ばつぐんに綺麗な顔立ちをしてやがる。
自分を可愛く見せる方法を知ってるっていうのかな、手袋をはめた手を胸に当てたり、ウインクをして見せたり、計算なんだろうけど、本当に可愛いのがしゃくだよな。
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2014/05/03(土) 21:10:42.88 ID:3dnvgWSh0
イベント後、ライブの興奮も冷めやらないままに、オレは楽屋に向かう。
いったんは警備員の人に止められたけど、事前に佐城が話をしてくれてたから、すぐに通してもらえたよ。
楽屋に入ると、佐城と、例の桃華って子が、椅子に座って、衣装のままで楽しそうにお喋りをしてた。
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2014/05/03(土) 21:11:17.53 ID:3dnvgWSh0
ふたり取り残されて、しん、と静まり返る楽屋は、なんだか居心地が悪ぃよ。
「最近、雪美は学校でのことをすごく楽しそうに話してくれますの。それもぜんぶ、結城さんのおかげですわ。雪美に代わって、感謝申し上げますの」
「別に、あんたにお礼を言われるようなことじゃねぇよ」
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2014/05/03(土) 21:12:05.90 ID:3dnvgWSh0
あの後、櫻井から名刺を渡されて、何かあれば連絡をくれって言われたよ。
何かって何だよって思ったけど、まあ、ありがたくもらっておいた。
あの日から、佐城はちょくちょく、オレのクラスに出没するようになった。
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2014/05/03(土) 21:12:34.73 ID:3dnvgWSh0
……なあ、雪美。
オレたち、もう一年、早く出会えてたら良かったって、そう思わねぇか?
そしたら、お前が苦しんでた時、いくらでも助けになってやれたのにさ。
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2014/05/03(土) 21:13:14.33 ID:3dnvgWSh0
ああ言った手前、オレは勇気を振り絞って、クラスの子に声を掛ける。
「今日からオレも、練習に参加するよ。今さらだけど、平気か?」
「うん、大歓迎だよ! 色々教えてね!」
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2014/05/03(土) 21:13:46.77 ID:3dnvgWSh0
雪美がキョドー不審に辺りを見回しながら、木の裏に隠れる。
グラウンドの方にそーっと顔を覗かせようとしたところで、背後から肩を叩いたよ。
「誰か捜してんのか?」
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2014/05/03(土) 21:14:13.10 ID:3dnvgWSh0
だらだらと過ごしてた時はあんなに長いと感じてたのに、いざ何かを始めると早ぇよな。
雪美との寄り道や雑談、サッカーの練習、それからちょっぴりの勉強、なんてことをしてたら、クラスマッチの日はぐんぐん迫ってきたぜ。
あれから、体育の授業中、四年とグラウンドを分け合うことが結構あって、そうなるとつい雪美の姿を捜しちまうわけだ。
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2014/05/03(土) 21:14:45.28 ID:3dnvgWSh0
クラスマッチ当日の、いつもとはなんだか違う感じのする朝、オレは校舎外の手洗い場で雪美と会ったよ。
「よお」
体操服に着替えを済ませた雪美が振り向くと、口にヘアゴムをくわえてた。
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2014/05/03(土) 21:15:18.58 ID:3dnvgWSh0
昼休み、教室まで弁当を取りに行こうとしたら、下駄箱前で雪美が待ってたよ。
「……晴……勝ってた……おめでと……」
「まあ、当然だよ。午後からはもっと気合いを入れなきゃだ」
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2014/05/03(土) 21:15:54.51 ID:3dnvgWSh0
けど、半分ぐらい食ったところで、急に腹が痛くなって、それ以上食えなくなった。
「……晴……?」
不安そうな顔をした雪美が、手を握ってきて、いきなり何だよって思ったんだけど……オレの手、震えてた。
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