過去ログ - 【モバマス】「きみがいたから」【結城晴】
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26:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/05/03(土) 21:16:33.70 ID:3dnvgWSh0
 トーナメント後半になって、試合数自体が減ってるからか、午前中と比べて、観客の数は明らかに増えてたよ。

 その中ですぐ、雪美の姿を見つけられたのは、あいつが最前列にいたからだ。

 雪美がそこにいるって思うだけで、なんだか心が落ち着いた。

 もしかすると、あのライブの日、雪美も同じ気持ちだったのかな。

 準決勝のホイッスルが吹かれる。

 ボールを受けたオレは、即座にドリブルで敵陣に切り込む。

 前にいたひとりを抜き去ると、奥の三人が怖い顔してオレを囲んでくるよ。

 その挑発的な目つき、オレは好きだぜ。

 前までのオレなら、勝負を買って、中央突破を選んでただろうな。

「頼んだ!」

 視線を真正面に向けたまま、真横にボールを蹴り込む。

 サイドを走る味方の足元にボールが滑り込む……何度だって練習したコースだ。

 意表を突かれた相手の一瞬の隙をついて、身軽になったオレは加速する。

 ゴール前に辿り着いたと同時、オレの頭上にボールが返ってきてる。

 首を振り、額の上でボールを叩く。

 ゴールネットが揺れる。

 歓声。

 迷わず、雪美がいる方向に向かって、拳を突き上げる。

 雪美は、すげぇ笑顔でさ、精一杯の声でオレの名前を呼んでくれてたよ。

 あの頃の雪美に、こんなこと、考えられたか?

 木陰でひとり、ぼけっとしてたお嬢様が……。


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