過去ログ - 【咲SS】景子「折れた刃は錆びつかない」【越谷女子】
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12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga age]
2014/05/03(土) 22:24:29.23 ID:0DAp6Rns0
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(この場、もし、高鴨穏乃の支配というものが存在するのなら……)

 私は必死に頭を働かせた。

 負けを覚悟したことで冷静さを取り戻すなんて、我ながらいい神経をしている。

(この南三局、恐らく、こいつは連荘より、親番を流すことを優先するだろう。
 劔谷との差はごく僅か。無傷のまま親をやり過ごし、オーラスで自ら安手を和了って決着をつける。と、そんなところか)

 私は自らの手牌に目をやる。ここまでずっと、鉛のように重かった手が、嘘のように伸びていく。

 この手なら、リーチを掛ければ、まだ届く――!

 勝利の可能性は、ゼロじゃない!!

(リーチを掛ければ、当然、劔谷と阿知賀、それに千里山もオリてくるだろう。
 特に劔谷は、私がツモれば阿知賀を逆転できるんだから、直撃を避けてベタオリするに違いない。
 それこそ――こいつの思惑通りに、な)

 私が逆転を狙ってリーチを掛ける。

 劔谷と阿知賀と千里山は、ベタオリ。

 勝負は高鴨穏乃の支配領域である山の深くまでもつれ、やがて、流局。

 全員からノーテン罰符を受け取って、その瞬間に、私たちの夏は終わる。

 オーラスは、無意味なものになる。

 私は、阿知賀と劔谷、どちらが二位抜けするのかを見守るだけの、傍観者に成り下がる。

 まだ試合は終わっていないはずなのに、控え室では、きっと、みんな、涙を流すのだろう。


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