過去ログ - 【咲SS】景子「折れた刃は錆びつかない」【越谷女子】
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7:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga age]
2014/05/03(土) 21:52:03.40 ID:0DAp6Rns0
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 越谷のレジェンド。

 それは、阿知賀のレジェンドとは真逆。

 紛うことなく蔑称であり、最低と同義語であり、負け犬の類義語であり、それ即ち、私のことだ。

「そうだな、私は、確かに越谷のレジェンドだ」

 チームの大将を任されながら、後半戦南三局にラス確定のダマッパネを披露した、越谷史上、ひいてはインターハイ史上に残る、最低最悪の雀士。

 それが、私――八木原景子。

「安心していいぞ、お前たち。この越谷のレジェンドこと私がいる限り、お前たちが伝説になることは決してない。
 どんなに凹もうと、無様に負けようと、お前たちに私は越えられないさ」

 私は、大袈裟に肩を竦めて、にんまりと口角を上げた。

「だから、どんなにみっともなくてもいい。自分が納得できるように打ってこい。最後までこのお祭りを楽しんでこい。
 そうやって、私たちは勝ってきた。この二回戦も、きっとなんとかなる。それだけの練習はしてきた。目指すは越谷未踏のベスト8……思いっきり、ぶつかってこい!」

 はい、と生徒たちは口を揃えて言った。

 先鋒の生徒が、対局の準備を始める。

 控え室に、ピリピリと、心地よい緊張感が漂う。

 そんな中、例の少女が、そっと私の隣に来て、小さく呟く。

「やっぱり……ケイちゃんはカッコいい」

 私は、恥ずかし紛れに、彼女の頭を優しく撫でてやった。

 そこには、十年前から預けたままの、私の刃。

 よく手入れされて磨かれた表面には、今の私の顔が映っていた。


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