63: ◆tcMEv3/XvI[saga]
2014/05/24(土) 21:58:40.14 ID:bM5mbd6Ho
  
  
 #4# 
  
  
 #母の日 朝 ○×神社 
  
 神社の境内には誰もいない。そこに信仰心がなければ、ただの打ち棄てられた廃屋だ。 
 鳥居には古びた竹箒が掛かっていて、雨のかからない場所には濃い埃が積もっている。 
 もう半年は誰も手を触れていないようだった。 
  
  
 友「いいか? 今は下見の時間で、決行は深夜だ。女はムードと心拍数で落ちる」 
  
 男「さすが10人の女に振られたヤツは言う事が違う」 
  
 友「見限るぞ」 
  
 男「スマン。続けてくれ」 
  
 友「神社の裏は断崖で、足を踏み外せば即死だから懐中電灯は手放すな。それから……」 
  
 ・神社の西側、つまり右手には林が広がっている。その最奥部にある祠……通称「れいむさま」が肝試しのミソだ。 
  祠中に護符の張り付けてある気持ち悪い祠さ。 
  祠の手前の木にダミーの護符を張り付けた。これを剥がすんだ。 
  
 男「なぜ祠の護符じゃなくて、ダミーを剥がすんだ?」 
  
 友「婆様が言ってたが、ありゃ本物の祠だよ。なるべく触りたくない」 
  
 男「怖いな。別の場所で肝試せないのか?」 
  
 友「スリルが無ければ肝も冷えまい」 
  
 男「母の日限定って言ってたな?」 
  
 友「ああ……毎年母の日、この神社を中心として半径3km以内で、『首なし女』が目撃されている」 
  
 男「それをお前が演じて、俺が手に入れた護符で倒す、と?」 
  
 友「さすが盟友。察しが良い……質問は以上か?」 
  
 男「ああ」 
  
  
 ―――――――――――――――――――――――――――――――。 
  
  
 #同日 深夜 ○×神社に至る階段の1段目 
  
 幼馴染「2人きりで飛び出してきてしまったよ……君も強引なんだね」 
  
 男「無断外出がバレれたら、しこたま怒られるだろうね」 
  
 幼馴染「クスクス……佐藤君に誘拐されたって言っちゃうよ?」 
  
 男「まあ、事実だし、いいぞ」 
  
 幼馴染「ふふふっ……で、こんな打ち棄てられた神社に、何があるんだい?」 
  
 男「僕の母さんの頭」 
  
 幼馴染「……へっ?」 
  
  
 僕が児童養護施設に預けられている理由。 
 それは、10年前の「佐藤一家惨殺事件」が原因だ。 
 僕の両親と妹は、押し入ってきた無精ひげの男に殺された。凶器はナイフ。単純だな。 
 ――3日前、やつれた男が俺の前に現れてこう囁いた。 
 「お前の母親の頭は、○×神社に預けてある……! れいむさまの護符を全て解き、真実を見るのだ……!」 
  
  
 男「僕は、死んだ母親との決着をつけたい。あの怪しい男を通報するのは後回しだ」 
  
 男(……アイツが肝試しをこの場所に選んだのは、このことを打ち明けさせるためなのか……? なぜ知ってる……) 
  
 幼馴染「……話してくれてありがとう。そして頼ってくれてありがとう……。さ、行こうか」 
  
  
  
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