2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[sage]
2014/05/05(月) 19:13:53.82 ID:wBxpcr1o0
都内ならどこにでもある雑居ビルの3階を訪れた私は、旧友の男にとある頼み事をしにきた。
狭い事務所は、人の背丈ほどのパーテーションで区切られただけで、応接間と言うのもおこがましい物だが、この事務所の雰囲気と、その主を見ていると、その方が落ち着く。
「ああ、音無君、いつもの番茶じゃなくて、玉露で頼むよ」
目の前に座る男は、気の良さそうな顔をしてこちらを見てくる。
あの頃と、変わらない奴だ。
「で、天下の水瀬グループの会長が、何のご用かな?」
「ん、実は、な」
庵がアイドルになりたかっていることを話すと、765プロダクション社長、高木順二朗は面白そうに笑っている。
「ほぅ、水瀬のご令嬢がアイドルか!これはまた」
「だが、それを売りにしていては底が知れている、あいつには、自分の力でのし上がってもらわねばならない」
「その為には、うちみたいな小さな事務所が良い?お前の考えていることだ、現実に打ちのめされて諦める可能性の方も考慮しているのだろう?」
相変わらず勘のいい奴だと思う。
学生時代から高木は昔からそうだった。
「まあ、な…あとは本人の意思次第だ…では、頼むぞ」
「何だ、もっとゆっくりしていったらどうだ」
「生憎、この身体は私のものではないのでね」
「なるほどな」
お茶を持ってきていた事務員の女性に軽く手を上げて挨拶すると、私は事務所前の車に乗って、経団連の会長との昼食会のある、都心のホテルへと向かった。
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