過去ログ - トール「フィアンマ、か。……タイプの美人だ」
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28: ◆2/3UkhVg4u1D[saga !蒼_res]
2014/05/17(土) 23:44:18.09 ID:jR4Y4T3M0

『あしが、いたい』

か細い声だった。
紛れもなく、フィアンマの声である。
トールが近寄ろうとした途端、ドアが開く。
入ってきたのは、ウートガルザロキだった。
いつもばっちりと決めている髪は下ろされていて。
服装はワイシャツとシンプルなズボンのみで、お洒落という概念はそこになかった。

『フィアンマちゃん』

近づいて、彼は彼女の横になっているベッド脇に膝をつく。
懺悔をするような形で、彼女の手を握った。

『好きだよ』
『……うん、…俺様も、うーとがすきだよ…』

毛布の下がどうなっているのかはわからない。
ただ、彼女の両脚に何かがあったことは確実だった。
泣きそうな声で『すき』、と繰り返し、フィアンマは彼の頬に手を伸ばす。

『ウート、……きす…して欲しい』
『………俺で、いいの?』
『……ん』


今にも死んでしまいそうな表情で、声音で。
くちづけをねだる彼女は、儚かった。

目の前で、二人はキスをする。

映画の中のワンシーンのように、緩やかな口付け。
綺麗で、出来すぎていて、完成されている。

『ウート、』

病床の彼女は、愛おしそうに彼を見上げていた。
薄く笑んで、彼の身体を抱きしめる。
告白の言葉を何度も繰り返しながら、飽きもせず。



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