過去ログ - トール「フィアンマ、か。……タイプの美人だ」
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53: ◆2/3UkhVg4u1D[saga]
2014/05/28(水) 22:11:15.39 ID:lMiot1GF0

トールの膝の間に座り、後ろにもたれかかる。
体重をかけて意地悪をしても、彼は少し笑うだけだ。

「………」
「……急に謝りたくなったな。やっぱ『俺』の影響か?」
「…それも、ある。幸せで、今生きていることに対して、だ」

元の世界に還ったという彼にこそ、もっと謝罪をするべきだった。
同時に、感謝の言葉ももっとかけておくべきだったと思う。
何もかもが過去形なのは、もう二度と彼とは会えないだろうと感じるから。

「俺様が殺されると、トールはああなるのだな」
「必ずしも、って訳じゃねえだろうが…多分、なるだろうな」

それ程までに、自分の根幹に彼女を置いてしまった。
それを後悔したことはないけれど、時々怖く思う。

「費やした努力の絶対量の関係かね」
「つまり好意ではなく財産に対する執着だと」
「そういうことじゃねえよ。ただ、普通の男女関係とは違うだろ」

あまりにも違って、入り組んだ事情ばかりだ。
彼女は嘘をつき、随分と遠回りをした。

「だからさ、……俺の労力を思うなら、勝手に罰を受けに行くなよ」
「俺様は、お前の隣に居るよ。……命の許される限り、ずっと。
 それで、トールが幸せだと思えるのなら」
「俺が不幸になると思ったら、離れるのかよ」
「俺様は、トールに今現在の人生を貰った。……何度も喪ったものだ」
「…ま、お前が居なくなった方が幸せだと思う日なんざ来ないだろうけどよ」

もう少し追いすがっても良いのでは、という態度を眺め。
実際にそうなったらみっともなく追いすがるかもしれない、と彼女は笑った。




予想出来うる事態は、全てが起こり得るというのに。
様々な不幸に振り回されながら、彼らは想像も出来ていない。


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