過去ログ - エルフ「譚奇フルエ、代時正大…?」
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28:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/05/10(土) 09:15:16.81 ID:To96zW2P0


ひと気のない路地を歩き、頭に頭巾を被った少女の風体はまるで泥棒のそれに見えた。

エルフ「……ふ、こうやって夜闇に紛れて歩くのにも、慣れたものだ…」


少女は塀の陰で、自嘲気味に人には分からぬ言葉を吐いた。

かつての仲間に、貴様は闇に紛れるのが得意だろう、と嫌味を言われたことを思い出した。

エルフ「……は、皮肉だな、本当に」


思えば、随分と遠い東の果てまでやって来たものだと、ある種の感慨にも似た感情が、彼女の心に湧き上がった。


ここまで来るのに、沢山の人間に出会った。
多くは他人を騙すことに長けた人間達で、残りは彼女が騙した人間だった。

殆どの人間が、彼女に悪意を向けてきた。
あの彼のように、非難もしない奴はごく稀だったように思う。


それは多分、自分もまた、そんな性根の腐った同類なのだろうと彼女は考えるようになった。
昔から彼女にとって、悪意を向けられることは慣れっこだった。



エルフ「……そうはいっても、な」

他人を騙すことの罪悪感だけは、いつまで経っても慣れるものではなかった。

相手が良い人であると、余計にそう思う。




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