53: ◆hSU3iHKACOC4[saga ]
2014/05/17(土) 06:04:52.73 ID:dE+hyaGd0
「生きている」
目覚めた彼が一番に思ったことだった。
完全に自分は死んだと思っていたのである。
あのような異常な状況で命をつなぐなどということができるわけがない。
しかし、幸運にも考えることができている。
胸の奥に不思議な達成感があった。
次に考えたのは、
「自分はどこにいるのだろうか」
だった。
目覚めた彼の目の前に悲惨な光景が広がっていた。
見渡す限りのゴミの山だ。
空はよどんでしまって動かない。
ごみの山を作っているのは生ごみの類ではない。
何かの部品のようなものがたくさん捨てられている。
素人の目で見ても何のごみなのかさっぱりわからない。
しかし、歯車のようなもの、ばねのようなものやたらと人工的な輝きの部品が見える。
工芸品の残骸だろうと京太郎は当たりをつけた。
機械のようなものの集まりのはずなのに臭いがひどかった。
雨は降っていない。
彼は自分の状態を確認して頭を抱えた。
何も身に着けていなかったからである。
靴もなければ、ズボンもない。
当然下着もない。
理由はすぐにわかった。
あの怪物の火炎である。
あの火炎で何もかもを焼かれてしまったのだ。
彼ははっとして髪の毛の感触を確認した。火炎で焼かれたのならば、髪の毛はひどいことになっているはず。
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