54: ◆hSU3iHKACOC4[saga ]
2014/05/17(土) 06:11:21.70 ID:dE+hyaGd0
髪の毛を触ってみて彼はほっとした。
まっすぐな髪の毛の感触が帰ってきたからである。
京太郎は、おかしいとは思わなかった。
火達磨になったという客観的な事実というのは、京太郎本人ははっきりと理解していないのだ。
知っていれば、おかしいと思っただろう。
何せ、眼球まで焼かれたのだ。
髪の毛が無事なわけがない。
しかし彼は歩き出した。
戦いを経験したことで頭がパニックになっているのだ。
そして目的が見つかったというのも大きな理由だ。
とりあえず身に着けるものを手に入れたい。
生まれたままの姿のままでは心もとない。
できれば服を見つけたい。
まともなものがないにしても、せめて急所を隠すことができるものがほしかった。
「ごみの山にあればいいのだが」
彼がごみの山を探し回っているとき驚くことがあった。
声が聞こえてきたのだ。
また、怪物の類だろうか。
彼はそう考えた。
しかしどうやら違うらしい。
「助けてくれ。動けないんだ」
なんとも不思議な声だった。
声なのかそれともきしんでいる音なのかわからない声。
発泡スチロールがすれているような奇妙な音が声に重なって聞こえるのだ。
何かの罠かもしれない。
明らかに怪しい。
怪物と一線交えたあと聞こえてくる奇妙な声。
近づきたいと思うものはいないだろう。
そして知恵のある怪物ならば相手を誘って食らう行動も取れるだろうと彼は考えた。
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