過去ログ - 千種「真赤なカーネーション」
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12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/05/11(日) 23:06:26.61 ID:rMT0qrsn0
 時計を見れば、夜の9時を回ろうとしていた。

「明日も、収録が早いから……」
「そう……」

 千早が立ち上がり荷物を纏めはじめると、私は言いようのない不安と寂しさを感じた。
 今まで、感じなかった気持ちに戸惑いながらも、玄関へ向かう千早の後を歩く。

「あ、あの…駅まで、送るわ」
「えっ……うん」
「……じゃあ、少し待っててもらえる?上着を取ってくるわ」

 クローゼットから薄手のカーディガンを取り出して、小銭入れとキーケースだけをポケットに入れて玄関に向かう。
 戸締りを確認して、千早と一緒に、駅まで向かう。歩いて10分程度の駅なのに、私と千早は思った以上にゆっくり、時間を掛けて歩いていた。
 私と千早の間には、まだまだ越えられない溝があると思うけれど、それが今日、少しでも近づける事が出来たなら。
 私の考えが甘いのだろうか。千早は、どう思っているのだろうか。
 それでも、笑みを浮かべて話してくれる千早の顔を見ると、それも今は考えなくていい気がしてきた
 
「ねえ、お母さん」

 改札の前まで来ると、千早が私に問いかける。



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