過去ログ - 千種「真赤なカーネーション」
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6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/05/11(日) 23:00:06.46 ID:rMT0qrsn0
「……誰かしら」
 
 時計の針は4時を回ったところ。
 宅配便が来るような物も頼んでいないし、誰かが来ることも在り得ない。
 玄関の向こう側に居た少女の姿に、私は胸が高鳴ると同時に、締め付けられた。
 何分もたったかのように思えた時間は、実際には数秒だったようで、私はあわてて玄関のチェーンと鍵を外し、扉を開いた。

「……千早」

 何か、声を掛けなければいけないのではないか。
 私に出来たのは、掠れそうな声で娘の名前を呼ぶことだけだった。

「……どうしたの?」
「……あの……その」

 目線を逸らし、言いにくそうにしている千早を見ると、スーパーの袋を持っていた。

「……上がりなさい」
「……」

 前に住んでいた家は、夫と別れてからもしばらく住んでいたが、千早が一人暮らしをする際にそこも引き払ったので、千早が私の部屋に来るのは初めての事かもしれない。

「優。お姉ちゃんが来てくれたわよ」
「……ただいま、優」


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