過去ログ - 阿良々木暦「ことりハザード」
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8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)
2014/05/12(月) 20:36:43.17 ID:WmSvF+Wh0


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ただでさえ薄暗い教室内に、闇が次第にその領地を広げ始めていた。

あと三十分もすれば足元すら視認するのが覚束なくなる。
今は相手の顔が辛うじて見える位だろう。
だろう、と曖昧な表現したのは、暗闇は僕にとって視界を黒く塗り潰す代物ではないからだ。
吸血鬼の後遺症を遺した僕にとっては、夜は真昼とそう大差がない。


「どうしたんだい阿良々木くん、何か――いいことでもあったのかな?」

だから、忍野メメの表情も良く見えた。

僕の下で、忍野が薄笑いを浮かべながらからかうように言う。
忍野が根城としている潰れた学習塾。その一室で、僕は忍野を組み敷いていたのだ。

「突然僕を押し倒したりして……あれかい? 僕を殺して借金をチャラにしよう、なんて考えているんじゃないだろうね?」

「忍野…………」

「嫌だ嫌だ、お金は怖いねえ。別にこの世にそこまで未練はないから殺してくれても構わないけど、痛くしないでくれると嬉しいな」

「違う!」

こいつは、いつもそうだ。

いつもはぐらかすように僕を翻弄して、小馬鹿にした態度で誤魔化す。

「違うなら——どうしたんだい?」

わかっている癖に。
こいつのことだから、僕が考えていることなんて百も承知だと言うのに。



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