過去ログ - ウートガルザロキ「フィアンマちゃんは、俺の」
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11: ◆2/3UkhVg4u1D[saga]
2014/05/12(月) 23:39:12.67 ID:A0cQK16M0

『ただいま、フィアンマ。元気だった?』
『おかえりなさい。すこしつかれてるだけで、げんき』

明け方になって、父親代わりが帰ってきた。
酷く疲れた様子で、ホコリ一つないソファーに腰掛ける。
父親代わりといっても、単に後ろ盾に過ぎない。
権力を獲得出来なかった哀れな枢機卿でしかない。

『だんろ、つける?』
『いいや、必要ないよ』

手招きをされる。
本のページを捲る度に荒れた指に、軟膏を擦り込まれた。
心地良い刺激に、目を瞑る。

彼が帰ってくるのは二ヶ月に一度。

食事に困ったことはない。
彼が命令した修道女が、時々食料を届けに館へやってくる。
とはいっても、怯えてすぐに帰ってしまうのだが。
数多の原典ひしめくこの館で、まともに滞在出来る人間は少ない。
じきに目の前の彼だって頭痛を訴えて、出て行ってしまうだろう。

『何か、変わったことはあったかい?』
『ううん。こわせるほんのかずがふえたよ』
『そうか。……ごめんね。私が自分の付く派閥をきちんと読み切れば』
『おれさまはつらくないよ。だいじょうぶ』
『でも、一人で寂しいだろう…? 毎日黙々と原典を処分するだけでは』
『ほんをよむのはすきだよ。……それに、さいきんはよる、おばけにあえるから』
『お化け? ふふ、面白い事を言うね』
『ほんとだよ。おれさまとおなじとしくらいのおとこのこ』

もし、彼と外で思うがまま遊べたら楽しいだろう。


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