過去ログ - ウートガルザロキ「フィアンマちゃんは、俺の」
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12: ◆2/3UkhVg4u1D[saga]
2014/05/12(月) 23:39:58.17 ID:A0cQK16M0

ぽつりと呟いたことにすら気づかないでいると、抱きしめられる。
宥めるように、優しく頭を撫でられた。

『君は、私の唯一の財産だ』

よく言われる言葉だった。
自分でも、冷静に、自分の価値は判断出来ている。

原典の『汚染』を決して受けず。
化け物のような"腕"で、原典を処分出来る才能。

それはあまりにも鬼才で、並の魔術師にとっては恐ろしい。
原典を処分出来るということは、自在に操れることと同義。
故に、外に出ることは許されない。

何より、『汚染』を受けない俺様は普通の人間とは言えない。

発狂せず、原典と戦い、廃書とする役割。
ローマ正教が誇る聖霊十式の一つ、『焚書棄録(ストラーダグラーベ)』。
生ける霊装たる俺様を閉じ込める館は、俺様のためのものでもある。
イギリス清教の騎士団を真似たように、当初、自分を使って『禁書目録』を真似るつもりだったようだ。
しかし、自分に絶対記憶能力はなく、ローマ正教に御する術もなかった。

結果が、幽閉。

此処は原典の墓場。
俺様は、原典を廃棄するだけの存在。
名前も、役割でしかない。炎で原典を滅する者、という意味しか。

『そろそろ、私は出るよ。足りないものがあったら言ってくれ』
『……いってらっしゃい』

手を振る。
寂しくなどない。
普通の少女のように、誰かを焦がれて泣いたりしない。

原典の傍で普通に生活出来ている俺様は、化け物なのだから。


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