11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/05/14(水) 19:39:13.17 ID:nm2l17/f0
「しかし……本当にどうしたものかな」
「お前様よ、ドーナツの追加を所望するが?」
「却下だ――――ん?」
「きゃああああぁぁぁ!」
気付いた瞬間には、もう手遅れだった。
女の子の悲鳴に対し脊髄反射で身体が反応し振り向くと、絨毯爆撃よろしく視界いっぱいのドーナツと黒い液体が広がっていた。
すべてがスローモーションのように感じる。
人は死の危険が迫ると時間の体感をゆっくりと感じるそうだ。
かつて常時生死の狭間を渡って来た剣の達人などは、斬り合いの際にこのような境地に達していたと聞く。
今の僕が正にそれだ。
数種類のドーナツ、それら全ての商品名も認識できる。
そして、例えるのなら網油のように迫り来る液体に直面したのは産まれて初めてのことであり、いくら感覚が達人級になっていようと、身体が緩慢に感じる時間の流れに対応する訳ではない。
まあ、一言でその時の情景を表すのなら。
さよなら、僕の服。
今までありがとう。
「熱っつ――――――――――――い!」
熱湯とは言わずとも人間の皮膚に損壊を与える程度に温められたホットコーヒーを、頭からぶちまけられた。
下手人は悲鳴の主であり、どうやらトレイを持ったまま前方に向けてダイナミックに転んだようだ。
「熱っ! 熱い熱い!」
「い、いたたた……はっ!?」
膝をさすりながら顔を上げた彼女は、頭につけたリボンが特徴的な女子高生だった。
あれ?
どこかで見たことあるような……?
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