過去ログ - 春紀「暗殺はせずに大人しく生活してたのに面倒なことに巻き込まれた」
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120:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/05/17(土) 02:14:58.36 ID:NhyZ+Juoo

あたし達は出口に向かって歩いた。
おっちゃんの身柄は臨時で待機していた管理人に渡して無事完了。
ったく、図太いオッサンだぜ。
ここぞとばかりに管理人に食料をねだってやがった。
あの様子ならほっといても死なないだろう。

おっさんは二週間前に受付から入って、それから居着いてしまったと言っていた。
なんでも、入る時には名簿にフルネームを書かなければいけないらしい。
そこまで聞いたあたしはふと気になって、生田目と桐ヶ谷の名前を探した。
名簿の最も新しいページに二週間前のおっさんの記名が残っているんだ。
この中にあるはずだ、そう思った。

だけど見つからなかった。二人の名前は何処にも。
念のため、遡ってページを確認したけど、それでも彼女達の名前は見当たらなかった。
あたし達はもしかしたら、有り得ないモノとこの墓地を見回っていたのかもしれない。

生きているのか、それともそうじゃないのか、あたしにはわからない。
確かに鳰は一度も「死んだ」という直接的な表現はしてなかった気がする。
だけど、浴びただけで重体になるような毒を直接飲み干したら、心臓をナイフで突き刺したら、普通は……。

「……よーし、忘れもんないか?」
「へーき!」
「ボクもだ。ただそろそろ薬を飲まないとヤバい」
「飲めよ」


そうして敷地を出る前に、あたしは最後にもう一度だけど振り返った。
入るときはおどろおどろしい雰囲気すら漂っていたのに、そんな気配は微塵もなかった。

「……」

心なしか、来たときよりも月が明るく感じる。
あたしは桐ヶ谷と生田目の邪魔をしないよう、出来るだけそっと鉄扉を締めた。




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