過去ログ - 遊佐こずえ「つれてってくれるから」
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2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)
2014/05/17(土) 00:52:12.63 ID:SBYvJ4MO0
帰り道に、缶コーヒーの入った袋を提げて、また公園を覗き見た。やはり陰気さを拭えないが、先とは違い、そこには人影がある。小柄な影は、十歳ほどの女の子だった。女の子はどの遊具にも触れず、一人でぽつんと立っている。私は彼女に、声をかけるべきか迷っていた。遠目から見ても、彼女は歳不相応に美しく感じる。アイドルの原石に間違いないのだ。
結局、私は声をかけることを選んだ。できる限り柔和な笑みを浮かべながら、女の子に近づいていく。十五歩進んだところで、彼女は私の方を向いたが、ぼんやりとしたまま、動こうとしない。彼女はそのまま、私が傍まで寄ってきても、不思議そうに見つめてくるだけだった。
「こんにちは。お母さんかお父さんは、近くにいるかな」
膝を曲げて、彼女と視線を合わせる。近くで見ると、彼女の顔は、ことさら綺麗に整っている。彼女の翡翠色の瞳は、一点の濁りさえなく、私の顔を映していた。
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