過去ログ - 阿良々木暦「あんずアント」
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23:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/05/25(日) 13:26:02.48 ID:dxcDzJ6y0

「なにそれ、ひどーい」

乙女心が傷付いちゃったよ、と顔を伏せる双葉。
僕の知る乙女は少なくとも男の前で腹を丸出しにしたりはしない。

「大丈夫だよ、プロデューサーがいる間はちゃんとアイドルやるから」

面倒だけどね、と双葉。

「人任せは良くないぞ」

まあ、双葉らしいと言えばらしいけれど。
あんなことがあったとは言え、昨日の今日で毎日働きますなんて言われても違和感ばっちりだ。

「プロデューサーが杏をトップアイドルにしてくれるって言ったんだから」

「む…………」

「もしなれなかったら、養ってよね、杏のこと」

何故か嬉しそうに笑う双葉。

「それは由々しき事態だな」

「でしょ? だったら、頑張ろうよ」

「……ああ、そうだな」

思わず顔が綻んだ。
形はどうあれやる気になったことは確かなようだし、明日からは双葉が悲鳴を上げる程に仕事を入れてやろう。
なに、文句を言うのならまた叱ってやればいい。

聞けば、双葉は今時の子供らしく、猫可愛がりで甘やかされて育った結果に今があると言う。
双葉に必要なのは、叱ってくれる誰かだったのだ。

「プロデューサー、飴ちょーだーい」

「片付けたらくれてやるよ。働け」

双葉が僕を信じてくれると言うのなら、僕もまた双葉を信じよう。
これが双葉の流儀だと言うのならば、僕も付き合おう。

怠惰の果てに見える新しいアイドルの形があるのならば、僕も見てみたいと思ったのだった。



あんずアント END



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