過去ログ - 安価で超能力バトル
1- 20
111: ◆tcMEv3/XvI[saga]
2014/06/22(日) 18:39:54.68 ID:2Cxtq59so


#4−12#


まずは、真空状態である0気圧から。

『真空状態の世界』――そう聞いて、真っ先に何が不便だと想像するだろうか。
……多くの人が、「窒息死する」と答えるだろう。

だが、ゼロ気圧状態では、それ以外に多くの制約がある。
上記の問題も含めて、羅列していこう。

・酸素がないので窒息する。
当然である。

・液体が沸騰する。これを減圧沸騰と呼ぶ。
基本的に低気圧下では液体の沸点が下がる。0気圧下では、水なら常温で沸騰するだろう。
熱いから沸騰するのではない。沸点を突破するから沸騰するのだ。

・様々なクッションが排除され、摩擦力が異様に高められる。
その両足で歩行する。重い箱を引きずる。窓を拭き掃除する――。
これらは全て、摩擦を伴う行為である。

そして、我々は日常生活の中で、大抵『クッション』を通して摩擦を体験している。
クッションとは、気体であったり、物質間の付着物や酸化物であったりする。
このクッションが無ければ、強烈な摩擦により我々の生活は激変するだろう。

例えば、足と床の間に何のクッションもなければ、どうなるのか。


話を現実に戻そう。


ゴンッ!!

頭が床に叩き付けられる音。
強い摩擦により感覚が狂う。
朦朧としながら少年は立ち上がった。


神父「お察しの通り、私は『特定空間内の大気圧を操る能力』を持ち合わせている。この部屋の『床上10cm』だけ0気圧、つまり真空状態にあります」

少年「くそっ……慎重に歩いても、ガムでも張り付いたように足が動かん……神父、やはり遊び過ぎだぞ。お前なら僕を殺せる……」

神父「『遊び過ぎ』? ……未熟な貴方は、その言葉を発する資格にない」

少年「違う。なぜお前は、例えば『僕の半径1mを真空に』とかやらないんだ? ……窒息死で簡単に殺せるぞ」

神父「……『解除』……」


上から下へと叩き付けるような強風。
少年は、たまらず床に伏せる。

神父の呟いた『解除』という言葉。
これは、固定されていた気圧が元に戻ったのだろうか。

空気は、気圧の高いほうから低い方へと流れていく。
風は気圧でのみ生じているわけではないが、それでも風と気圧は密接に関わっている。

例えば。
高気圧であれば下降気流を生じる。低気圧であれば上昇気流を生じる。
この上昇気流に乗って水蒸気が昇っていき、雨雲を形成するのだ。

例えば。
膨らんだ風船に小さな穴を開ければ、風船から勢いよく風が噴き出る。
これは、風船によって高められた気圧が外の気圧を上回り、気圧を一定に保とうと、風船の中の空気を押し出す形となったからだ。

圧力の差が高ければ高いほど、低い方へと流れ込む力は強くなる。
そして気圧とは相対的なもので――。


話が多少脱線したが、つまり「急に真空状態が解除されれば、周囲の空気が『真空だった空間』に殺到し、強風を生じさせる」ということである。


 


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
141Res/131.45 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice