過去ログ - 実験動物は生を望む夢を見るか? とあるミサカの追憶夢想
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2014/06/01(日) 12:50:09.43 ID:UKWy2o690
あの日、行われた第10032次実験。……結果として……少年は敗北しました。
無論、当然の結果ではありました。学園都市の頂点に立つ第一位。彼の力は世界を滅ぼすことすら可能な、悪魔のそれなのです。
ただの高校生一人が手に負えるものでは……とてもありませんでした。
いえ、それでも、おそらく人類で初めて一方通行にダメージを与え、一瞬にせよあの一方通行を押したことは、「奇跡」と言うに他なりません。ですが……。
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2014/06/01(日) 12:50:56.38 ID:UKWy2o690
少年の行動は、少なくとも多くの奇跡を起こしました。
少年の言葉が、拳が、あの一方通行に何を与えたのかは分かりません。しかし、あの戦闘の後、一方通行は実験から身を引くことを宣言しました。
ミサカは信じられない思いでした。他者を見下し、命を奪うことを何とも思っていなかった筈の彼が――自ら実験を放棄するなどと。
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2014/06/01(日) 12:51:24.38 ID:UKWy2o690
いえ、それは全て事実。けれど、その先の未来は、そう都合良く、進むことは無かったのです。
一週間後、再び実験は始まりました。
少年との戦いの晩から一週間、研究所と一方通行の間で、どんなやりとりがあったのかは分かりませんが、しかしこうして再び実験は始まってしまったのです。
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2014/06/01(日) 12:52:09.05 ID:UKWy2o690
あの日、敗北した少年は未だ病院のベッドの上で眠ったまま。眠る少年の手を、ただじっと握っているのはお姉様です。
彼女もまた、あの晩、その身に二度と消えない傷を負ってしまいました。
一方通行に放った「超電磁砲」。直撃こそしなかったものの、その弾丸はお姉様の頭をかすめ、その余波は彼女の脳に障害を与えることになりました。
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2014/06/01(日) 12:53:36.56 ID:UKWy2o690
ああ何と惨く、救いの無いグラン・ギニョール。
観客は興醒めですね。次々と席を立ち、劇場からは消えて行くことでしょう。
けれど、ミサカはその舞台を降りることは許されないのです。
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2014/06/01(日) 12:54:27.94 ID:UKWy2o690
彼の能力――ベクトル変換。10031人の屍を積み上げ、ようやくミサカたちはその力を知ることになり、10032人目の屍と共に、その力が生み出す、底無しの悪意を垣間見ました。
彼の力を理解した所で――ミサカに可能な戦闘など、せいぜい10032号の考え出したオゾンを利用した、彼の呼吸を付いた戦法程度。
この先に進むことは、所詮欠陥電気であるミサカには不可能な戦術です。
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2014/06/01(日) 12:55:13.43 ID:UKWy2o690
少年とお姉様、二人との関わりを失った妹達は、それまでの成長が嘘のように、暗く、重く、黒々とした空気に日々包まれて行きました。
以前のように、街中の景色を楽しむこともしません。
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2014/06/01(日) 12:55:41.47 ID:UKWy2o690
ネットワークで交わされる言葉も少なくなりました。ただ積み重ねられるのは戦闘と死の経験のみ。そして次々とネットワークからはミサカたちのIDが消えて行きます。
一人、また一人と、ミサカたちの身体から赤い鮮血が飛び散り、短い命を終えて行く。
実行された実験の回数が18000を超えた時――もうこの頃のミサカは全てを諦め、半ば廃人のように過ごしていました。いえ、廃人という言い方は正しくありませんね。人の基準で言えば、それは廃人のようなものですが、ミサカの基準で言えば、それは正常な個体と言うことでしょう。
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2014/06/01(日) 12:56:17.74 ID:UKWy2o690
もう――何を感じればいいのか分からないのです。目覚めた頃は新鮮に感じていた恐怖も、悲しみも、今は全て、乾いたリンゴを口にするかのように、それらは味気ないものとなっていました。
ミサカは死を経験しすぎた。あまりにも多くの悲しみを知ってしまったのです。他の妹達は知らない、悲しみと言う感情を。
ミサカの心はどこに向かっているのでしょうか。個体の命が散る度、その遺体を処理するたびに、ミサカの中の心には少しずつ黒い穴が空いて行くようです。
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2014/06/01(日) 12:56:50.46 ID:UKWy2o690
恐怖も。
痛みも。
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