過去ログ - 実験動物は生を望む夢を見るか? とあるミサカの追憶夢想
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77:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/01(日) 13:02:35.46 ID:UKWy2o690

掠れるような声でミサカは一方通行に言いました。すがるように伸ばした手は、彼の能力に弾かれ、どさりとミサカの身体は地面に倒れます。それでも、ミサカはただひたすら、彼に助けを求めました。

少年を、お姉様を傷つけ、9982号を、10032号を――19089人の妹達を殺した、何よりも憎むべき者に、ミサカはすがったのです。

以下略



78:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/01(日) 13:03:24.43 ID:UKWy2o690

彼は、小さく呟きました。そして、叫びます。

一方通行「うるせェ! もう遅ェンだよ! 今更テメェがどう言おうが、もう後戻りは出来ねェンだよ! もう俺はこの手で19089人ブチ殺して来たンだ!」

以下略



79:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/01(日) 13:04:06.98 ID:UKWy2o690

19090号「がっ……」

一方通行「……すぐ、楽にしてやるよ」

以下略



80:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/01(日) 13:04:55.80 ID:UKWy2o690

一方通行「俺は、お前ら全員ぶっ殺して、何がなンでもレベル6になってやる……。その暁には、こンなクソッタレな計画を組み立てた、『学園都市』をぶっ潰してやるよ」

ジャリの中を、一歩、また一歩と彼がミサカに歩いて来ます。死神の跫音が近づいてくる。

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2014/06/01(日) 13:06:10.72 ID:UKWy2o690

ほんの一瞬、ミサカのその言葉に、彼が酷く刺された表情をしたのが見えました。けれど、一瞬でした。

一方通行「……言っただろ、もう後戻りは出来ねェってなァ。……俺も、お前も」

以下略



82:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/01(日) 13:07:14.25 ID:UKWy2o690

死にたくない。

死にたくない。

以下略



83:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/01(日) 13:07:58.27 ID:UKWy2o690


ミサカは――生きたい……。

19090号「ミサカは……まだ……」
以下略



84:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/01(日) 13:09:15.41 ID:UKWy2o690




13577号「……どうしたのですか、とミサカは夜中に大声を上げながら目を覚ました19090号に質問します」
以下略



85:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/01(日) 13:10:06.61 ID:UKWy2o690

13577号「……夢、ですか?」

19090号「……忘れて下さい、とミサカは再びベッドに――……ッ!」

以下略



86:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/01(日) 13:10:55.27 ID:UKWy2o690

19090号「うっ……く。う……う……うああああっ!」

13577号「な、何故ミサカを急に泣きながらベッドに押し倒したのでしょうかとミサカは予想外の展開に心の準備が――」

以下略



87:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/01(日) 13:12:05.11 ID:UKWy2o690

それはあり得たかもしれない未来でした。もしあの時、あの少年が一方通行に敗北してしまっていたら、実験は続き、もしかしたら、今日がミサカの命日であったかもしれないのです。
今、こうして言葉を交わしている13577号も、とっくに死んでいたかもしれません。

13577号「それは夢です。現実では、お姉様も、あの少年も元気に生きているではありませんか。……少々危なっかしい所はありますが。何を恐れることがあるのですか」
以下略



88:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/01(日) 13:12:43.39 ID:UKWy2o690

夢の中のミサカは、死にたくないと、ただそれだけを願っていました。その時、心の中では、お姉様のことも、少年のことも、妹達のことも、何一つ考えず、ミサカは、自分のエゴだけで生きたいと願っていたのです。

19090号「ミサカの命は……10031の亡骸の上にあると言うのに……その時のミサカは、そんなことを、欠片も思ってなかったのです」

以下略



89:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/01(日) 13:13:43.33 ID:UKWy2o690

そう言ったミサカの身体を、13577号が抱きしめました。

13577号「確かに……ミサカたちは10031人の妹達の亡骸の上にある、歪な命の形です。……ですが」

以下略



90:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/01(日) 13:14:24.72 ID:UKWy2o690

13577号「19090号、あなたは他のミサカよりも、頭一つ、感情が多彩な個体です。時にはそれが、他のミサカには感じること無い、悪夢や苦しみを生み出すことがあるでしょう。ですが、それは誇りこそすれ、卑下するものではありません。……だから」

そしてにこりと笑い、彼女はミサカの耳にそっと囁きました。

以下略



91:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/01(日) 13:15:23.66 ID:UKWy2o690

13577号「……苦しむこともあるでしょう、悲しむこともあるでしょう。けれど、それは人ならば当然の感情なのです。だから、あなたは誇っていい。それを感じ、涙を流せる、あなたの心を」

自分の心が嫌いでした。他の個体と異なり、死を恐怖し、生に執着していた、壊れた自分が。

以下略



92:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/01(日) 13:16:42.02 ID:UKWy2o690



これからの未来。あの少年が語った夢のように、たとえ全員が笑って過ごせる未来の中でも――、

以下略



93:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/01(日) 13:17:08.47 ID:UKWy2o690

◆   ◆   ◆  


――最近、よく夢を見るのです。
以下略



94:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/01(日) 13:19:22.03 ID:UKWy2o690



同じ声、同じ姿、けれど一人一人、心は異なり、違う夢を見て、違う未来を生きて行く。

以下略



95:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/01(日) 13:21:16.61 ID:UKWy2o690

これにておしまいです。

短い話でしたが、ここまで読んでくれた方、期待してくれた方、ありがとうございます。
19090号始め、妹達に幸せな未来が訪れるといいですね。


96:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2014/06/01(日) 17:48:18.91 ID:jsWFBkYu0
読みやすかったです




97:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[sage]
2014/06/01(日) 23:19:18.72 ID:ukz4U6ik0
いいね。むしろ原作でやって欲しかったくらいだわ



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