過去ログ - 実験動物は生を望む夢を見るか? とあるミサカの追憶夢想
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64:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/01(日) 12:54:27.94 ID:UKWy2o690

彼の能力――ベクトル変換。10031人の屍を積み上げ、ようやくミサカたちはその力を知ることになり、10032人目の屍と共に、その力が生み出す、底無しの悪意を垣間見ました。

彼の力を理解した所で――ミサカに可能な戦闘など、せいぜい10032号の考え出したオゾンを利用した、彼の呼吸を付いた戦法程度。
この先に進むことは、所詮欠陥電気であるミサカには不可能な戦術です。
以下略



65:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/01(日) 12:55:13.43 ID:UKWy2o690

少年とお姉様、二人との関わりを失った妹達は、それまでの成長が嘘のように、暗く、重く、黒々とした空気に日々包まれて行きました。

以前のように、街中の景色を楽しむこともしません。

以下略



66:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/01(日) 12:55:41.47 ID:UKWy2o690

ネットワークで交わされる言葉も少なくなりました。ただ積み重ねられるのは戦闘と死の経験のみ。そして次々とネットワークからはミサカたちのIDが消えて行きます。
一人、また一人と、ミサカたちの身体から赤い鮮血が飛び散り、短い命を終えて行く。

実行された実験の回数が18000を超えた時――もうこの頃のミサカは全てを諦め、半ば廃人のように過ごしていました。いえ、廃人という言い方は正しくありませんね。人の基準で言えば、それは廃人のようなものですが、ミサカの基準で言えば、それは正常な個体と言うことでしょう。
以下略



67:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/01(日) 12:56:17.74 ID:UKWy2o690

もう――何を感じればいいのか分からないのです。目覚めた頃は新鮮に感じていた恐怖も、悲しみも、今は全て、乾いたリンゴを口にするかのように、それらは味気ないものとなっていました。
ミサカは死を経験しすぎた。あまりにも多くの悲しみを知ってしまったのです。他の妹達は知らない、悲しみと言う感情を。

ミサカの心はどこに向かっているのでしょうか。個体の命が散る度、その遺体を処理するたびに、ミサカの中の心には少しずつ黒い穴が空いて行くようです。
以下略



68:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/01(日) 12:56:50.46 ID:UKWy2o690

恐怖も。

痛みも。

以下略



69:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/01(日) 12:57:19.31 ID:UKWy2o690

心ない人形として死ぬことが出来れば、それほど幸福なことはないでしょう。

もう、ミサカは疲れたのです。

以下略



70:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/01(日) 12:57:55.46 ID:UKWy2o690

空には三日月が浮かんでいました。ああ、あの日、少年が戦いを挑んだ夜も――同じ月が浮かんでいた。


第19090次実験。今宵、この時が、ミサカが見ることになる最後の夜。
以下略



71:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/01(日) 12:58:21.88 ID:UKWy2o690

彼の表情は以前のように不気味な笑みを浮かべることも無く、彼もまた、機械のように実験をこなして来ました。

いえ、機械と言うと少し違うかもしれません。その表情は、あの晩から陰りを大きくさせたように見えます。

以下略



72:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/01(日) 12:58:57.00 ID:UKWy2o690


……死ぬ?


以下略



73:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/01(日) 12:59:32.69 ID:UKWy2o690

死ぬこととは、もう、何も感じなくなると言うことなんです。

この世界を、もう二度と見ることが出来なくなると言うことなんです。

以下略



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